’05年の私的ナンバーワンソング「JOY」YUKI [音楽]
2005年のナンバーワン「J-pop」ソングは、何だった?
と、尋ねられたとして、あなたなら、どんな曲をあげるでしょうか?
昨年も数多くの名曲がたくさんのアーティストから届けられましたが、「1曲を選べ」と問われれば、個人的には、YUKIの「JOY 」を挙げたいと思います。
「いつだって 口からでまかせばかり喋っている
イエス ノー どちらでもないこともあるでしょう
いつだって世界は私を楽しくさせて
いつか動かなくなる時まで遊んでね」
(YUKI「JOY」より抜粋)
この「JOY」の歌詞は、誰にでもわかる簡単な言葉だけで構成されていて、なんとなく聞き流していると童謡のような牧歌的な印象を受けてしまうのですが、
例えば
「誰かを愛すことなんて ホントはとても単純だ」
と、一番で唄ったあとに、2番では、
「誰かを愛すことなんて、トキドキとても困難だ」
と、いうような一見、矛盾しているようだけれども、「あー、そうだよねぇ」と思わず感心してしまうような表現をしています。
「JOY」には、このような「人生」や「恋愛」の真理を指しているかのようなドキっとする表現が随所に散りばめられていて、聴くたびにそれらの言葉が表情をかえて語りかけてきます。
また、耳になじみやすくキャッチーなメロディも、多くの人に口ずさめる大衆性(ポピュラリティ)を持っており、それでいてYUKIの伸びやかな声で歌われると唯一無二の表情をみせてくれるような「二面性」を感じさせるものです。
このように、「歌詞」も「サウンド」も、老若男女に受け入れられる大衆性をもちながら、聴き手一人ひとりの懐に入っていけるような「深さ」も持ち合わせている、このYUKIの「JOY」は、
個人的には、90年代に生まれた「J-pop」という音楽ジャンルのひとつの完成形かもしれないとすら思ってたりします。
また、個性的なアートワークにも定評があるYUKIは、PVも独創的で面白いものが多いのですが、なかでも、この「JOY]のPVは、たくさんの独創的なアイデアが詰まったコミカルで不思議な世界観をかもしだしたものになっており、昨年のビデオオブザイヤー(ミュージッククリップNO.!)を受賞した傑作です。
この作品、宇多田ヒカルや浜崎あゆみのように「予算」や「技術」をかけてるなぁ~というタイプのものではなく、
「映像」という表現ジャンルでも、「CG」や「お金や時間をかけた派手なロケ」なんかに頼らなくても、アイデアしだいで面白いものが作れるんだ
という、お手本のような作品なんで、個人的にもすごく勉強になるし大好き。
(ちなみに、YUKIは「スタンドアップ!シスター 」のPVもかなり面白い演出をしてるので、観たことがないひとは一度は見て欲しいです)
と、どうして今さら、「JOY 」のレビューを書いたのかというと、そのYUKIの半年振りの新曲「ふがいないや 」が、本日(8月9日)、発売されたからだたりします!
実は、この記事、「ふがいないや 」の前フリに大好きな「JOY 」のことをちょろっと書こうと思って書き始めたのですが、結構、長くなってしまったので、これはこれで一つの記事にしちゃおうかと(汗)
フレッシュな顔ぶれ!オシムジャパン発表 [サッカー]
私は、現在、27歳の1979年生まれだ。
4年後に南アフリカで開催される次のW杯は、30歳を超えることになる。
中田英寿が、29歳でサッカー選手を引退したように、サッカー選手の寿命は短く、30歳を超えてトップレベルのプレーを披露できる選手は少ない。
しかし、ドイツW杯で準優勝したフランス代表の選手の平均年齢は、30.2歳。
34歳のジダンを筆頭に、ビエイラ、マケレレ、テュラムといった30歳を超えた円熟のプレーヤーが準優勝の確かな原動力になっていた。
前回、ドイツW杯で日本代表として選手された選手の平均年齢は、27.5歳と高く、4年後には、今回の選手の多くが30歳を超えることになり、このことは、若手を積極的に起用しなかった「ジーコジャパンの負債」のひとつとして挙げられることが多い。
2006年8月4日、4年後のワールドカップ南アフリカ大会を見据えて監督になったイビチャ・オシムが初選出を行った、キリンカップ2006トリニダートトバコ戦を戦う、日本代表が発表された。
今回は、現在、行われているアジア最強のクラブチームを決めるA3と、鹿島の上海遠征とキリンカップの日程がかぶってしまったために、「G大阪」、「ジェフ千葉」、「鹿島アントラーズ」の選手は、除外されていることもあり、13名の発表となった。
選出された13名は以下の通り、
GK:
川口能活(30歳)(磐田)
山岸範宏(28歳)(浦和)初召集
DF:
三都主アレサンドロ(29歳)(浦和)
坪井慶介(26歳)(浦和)
田中マルクス闘莉王(25歳)(浦和)初召集
駒野友一(25歳)(広島)
MF:
田中隼磨(24歳)(横浜FM)初召集
今野泰幸(23歳)(FC東京)
長谷部誠(22歳)(浦和)
小林大悟(23歳)(大宮)初召集
FW:
我那覇和樹(25歳)(川崎)初召集
佐藤寿人(24歳)(広島)
田中達也(23歳)(浦和)
ドイツ代表のメンバーで今回も選出されたのは、GKの川口、DFのサントス、坪井、駒野の4人。
MF,FWは、初召集の3人を含め、代表として呼ばれたことがあっても出場機会がすくなかった選手が多く、きわめてフレッシュなメンバーが選ばれたといえる。
しかし、現在、Jリーグで首位にたっている川崎フロンターレのチーム得点王である我那覇を初めとしてクラブチームで結果を出している選手たちが名を連ねており、まだ、代表選手としては聞きなれないけれども、十分に納得できる選手たちが選ばれたと感じる。
が、それと同時に、やっぱり個人的な感情として、浦和の小野伸二(26歳)をはじめとする「黄金世代」と呼ばれ、これまで数多くの代表試合を経験してきた私と同じ1979年、80年生まれの選手たちが選出されていないことに、どうしようもない寂しさも感じてしまった。
ただ、オシム監督が発表の場で、初召集選手の多さを指摘されて
「誰でも最初は初心者。経験がないからと言って招集しなければ、いつまでたっても経験は得られない」
と、いっていたので、あくまで才能豊かな若手選手にまずば「経験」を与えてから、もうベテランになってしまった代表経験も多い「黄金世代」らの、ドイツ代表メンバーと競争させていくのかもしれないなぁ~とも、思うので、まずは温かい目で、この「新生オシムジャパン」のメンバーの戦いっぷりを応援していきたいな。
とりあえずは、このメンバーで挑む9日のトリニダート・トバコ戦が楽しみ★
<追記>
8月5日に、追加召集として、
DF
栗原勇蔵(22歳)(横浜FM)
MF
山瀬功治(24歳)(横浜FM)
中村直志(27歳)(名古屋)
鈴木啓太(25歳)(浦和)
FW
坂田大輔(23歳)(横浜FM)
の5人をさらに招集。
既に発表された13人は、アジアカップ予選イエメン戦でも選出が濃厚とされているが、今回の5人は、千葉、G大阪、鹿島の選手が召集できないための限定的召集らしい。
ただ、”限定”としながらも、やはり追加の5人も、これまで代表に選出されてこなかった選手たちで、オシムが積極的に多くの選手に”代表経験”を与えようとしているのかなぁと感じられる。
ほぼメンバーが不動だったジーコの時と違って、本当に誰が選ばれるかわからないオシムジャパンには、毎回、代表に誰が選ばれるのか楽しみ☆
それにしても、特に追加収集のメンバーで感じたのですが、Jリーグ好きでも、「あー、この選手を選ぶのかぁ~」といったような、「いぶし銀」的な人選は、さすが、よく「Jリーグ」を知っているなぁ~と、感心してしまいました。
僕たちオトコノコ。「耳鳴り」チャットモンチー [音楽]
「君たち 女の子 僕たち男の子
ヘイヘイヘイ(ヘイヘイヘイ) ヘイヘイヘイ(へいへいへい)
おいで遊ぼう
僕らの世界へ 走っていこう」
(男の子女の子/郷ひろみ・作詞筒美京平)
ミニアルバム「chatmonchy has come 」で、衝撃的なデビューを果たし、1stシングル「恋の煙 」で、その破格の才能を知らしめ、2ndシングル「恋愛スピリッツ」で、その規格外の才能の底知れなさを確認させてくれた、個人的にも今年、イチオシの徳島発のガールズ3ピースバンド、チャットモンチー。
彼女たちの、デビューアルバム「耳鳴り 」をエンドレスリピートで聞いていると、不思議と冒頭に記した、郷ひろみの「男の子女の子」(今、改めて読み直すと筒美京平って本当に天才だと感じる歌のひとつだったりします。)を口ずさんでしまっていた。
私にとっては、それぐらい強烈に、このアルバム「耳鳴り 」は、
私が、「男」で、彼女たちが「女のこ」
だということを突き付けられる作品でした。
「広がるのは ただ切れ間ない青のコラージュ
少年は バスケットボール枕にして 空に浮かぶ明日をみてる」
(ウィークエンドのまぼろし/作詞・高橋久美子)
変則的なドラムのリズムで始まるのに、不思議とポップな印象を与えてくれる3曲目に収録されている「ウィークエンドのまぼろし」。
ドラムの高橋久美子が作詞を担当しているこの曲では、まさに「青春の1ページ」といった爽やかな情景描写から始まっているのに、
「ねぇ、いつまでも空はこんなに青いのかな?
ねぇ、いつまでも風はこんなに透明なのかな?
ねぇ、いつまでも春の次は夏なのかな?
最悪の日曜日」
(ウィークエンドのまぼろし/作詞・高橋久美子)
と、巡るめく美しい季節を唄いながら、最後のフレーズで「最悪の日曜日」とばっさりと切り捨ててしまっています。
この感覚、「思春期の女のこ」なら考えていそうなことだってことは、「理解」はできるのだが、決して男性である自分には、生まれてこない感情で、正直、歌詞カードを見る前に初めて「最悪の日曜日」のフレーズを聴いた時には相当ビックリしてしまいました。
それにしても、デビューミニアルバム「chatmonchy has come 」のリード曲でもあり、この「耳鳴り 」にも、ALBUMバージョンでも収録されている「ハナノユメ」でも、感じたのだが、高橋久美子の書く詩には、どれも女性特有の「狂気じみた何か」を感じさせてくれて、ちょっと怖いのだが、そこがまた面白い。
「ハチノ巣みたいだ 東京
働きバチの行列だ
私はまだやわらかな幼虫
甘い甘い夢をみてる」
(東京ハチミツオーケストラ/作詞・福岡晃子)
そして、このアルバムの冒頭を飾る、徳島出身の彼女たちの「上京ソング」とも呼べるであろう「東京ハチミツオーケストラ」。
1stシングル「恋の煙」のなかでも、
「当たりくじだけのくじ引きがしたい」
と、いうようなセンス溢れる言葉選びのセンスを見せ付けた、ベースの福岡晃子が作詞するこの曲。
上京してきた、彼女が感じた、まだ見慣れていない風景である東京の様子を「ハチの巣」に見立て、メジャーデビューが決定し、とんとん拍子で上京までこぎつけたであろう彼女たちが
「私はまだやわらかな幼虫
甘い甘い夢をみてる」
と、唄いながらも
「そんなに甘くはないよって
早く 誰か教えてよ」
と、明るい未来に希望だけを抱いているわけではいないことを「歌詞」の中にきっちりと織り交ぜているところに、なんだかとても「女性」っぽさを感じてしまいました。
「あの人がそばにいない
あなたのそばに今いない
だからあなたは私を手放せない」
(恋愛スピリッツ/作詞・橋本絵莉子)
そして、2ndシングル「恋愛スピリッツ」でも、そのストレートな表現とシンプルな言葉で心に突き刺さる歌を見せてくれた、ボーカル、ギター、そして、全ての楽曲の作曲を担当する橋本絵莉子の紡ぐ歌詞には、
「どなる、でんわ、どしゃぶり」
と、言った本当に思い浮かんだ言葉を並べただけ(なのに、情景が色々と想像できてしまうからスゴイ)のタイトルをつけた、恋人の最後の別れの電話を唄った5曲目に代表されるような
具体的な情景を描いているのに、少ない言葉数で、極めてシンプルな表現をしているせいで
まるで、「女のこ」の心の中を覗き見したような錯覚に陥ってしまうぐらいに生々しい印象をもってしまうほど。
と、こうやって、3人の紡ぐ歌詞に「女のこ」を感じた場所をそれぞれ書き出してみて、改めて感じるのは、チャットモンチーの3人ともが個性的な味を持った歌詞を書いているなぁ~ということ。
全ての楽曲の作曲をしている、橋本絵莉子というどでかい才能に触発されて開花したのか、それとも、似たもの同士が自然と集まるように終結したのか、なんにしても音楽の神様の存在を信じたくなるような奇跡的なバンドだと思う。
このアルバムでは、そういった3人の個性が、これまでシングルやミニアルバムよりもずっとわかりやすく感じることができるので、そういった楽しみかたも面白いですよ。
また、元スーパーカーのいしわたり淳治をサウンドプロデュースに迎えた、その音も、予想以上にポップで聴きやすいのだが、いざ、口ずさんでみようとすると、変則的なリズムに気づかされたりして、一筋縄ではいかない感じで楽しめます♪
もともと、ライブが評判になって、口コミでそのウワワが広がってきたチャットモンチー。
私の周りでも、すでにライブでチャットモンチーを聴いた人がちらほらいるんだけれども、「CDよりスゴイ!」とかなりの好評価です。(朴訥なMCも、好評。)
サマーソニックへの参加も決まったりみたいだし、このアルバムをひっさげた「耳鳴りツアーなり」もやるみたいで、それも楽しみすぎる!!!
まだ、彼女たちの曲を聴いたことがないというあなた!
本当にもったいないと思うんで、是非ぜひ、このアルバムを聴いてみてほしいです。心から。
この夏の散歩のお供に♪「TEXAS」安藤裕子 [音楽]
雨上がりの風の匂いや
日が落ちる寸前の日差しの柔らかさや
夜空に流れる白い雲の美しさ
そんな、思わず誰もが歌にしたくなるような風景を詩として紡ぎ、そして独特の透明感を持った声で歌いあげることができるシンガーソングライターの一人、安藤裕子。
「ふ♪た~り~の~♪ じ♪か~ん~も~♪」
と、彼女が歌う「のうぜんかつら」が、月桂冠のCMにノークレジットで使用されていたため、問い合わせが殺到してニュースになり、
また、その「のうぜんかつら」が収録された最新アルバムが「Merry Andrew」10万枚を越すヒットを記録したりと
今、旬な女性シンガーソングライターの一人であろう彼女の最新シングル「TEXAS 」は、これから、天井しらずに暑くなりそうな、この夏の清涼剤になってくれそうな極上の「切なポップ」ソングだ。
「僕なりに考えて 出した答えの中に
君だって 何だって
いつまでも紡ぎたいんです
風がぬるくたって 君が手をつなぐなら
汗ばんだ手を拭いて
いつまでも 歩いてこう」
(TEXAS /安藤裕子より)
こんな唄いだしで始まるこの歌に耳をすますと
夏の日の暑さが残る、生ぬるい風が漂う夕暮れに
散歩にでかけた「僕ときみ」が
何かのきっかけでケンカしてしまって
ちょっと気まずい空気になったのだけれども
しばらく歩いているうちに「僕」が微笑みかけたことがきっかけで
「君」も手を伸ばして
二人は手をつないで仲直りしてしまう。
そんな、情景が浮かんできてしまった。
「異なった」価値観を持つ「人」同士の二人が
「同じ」時間を共有する「恋人」という関係。
想いあっていても、傷つけあってしまうのは
悲しいことなのかも知れないけれど
それでも、「手をつないで」一緒に歩いていこう
と、歌い上げるこの歌は、優しく、そして、ギュッとするほど「切ない」気持ちにさせてくれる。
サウンドも安藤裕子の個性的な歌い方を、気持ちよく色づかせるために響きあう
ドラム、ベースライン、ギター、そして、オルガン・フレーズが本当に耳に心地よくって
今日みたいな、じっとしているだけでも汗ばんでしまうような夏の日の夕暮れに、散歩のお供として連れ出したくなる一曲です☆
「ダヴィンチ・コード」謎解きではなく、きっかけとして楽しめれば [映画(シアター)]
絵画に興味が無い人間でも、思い浮かぶことが簡単なほど、多くの人に知られている、歴史上最も有名な絵画といってもいいレオナルド・ダ・ヴィンチの傑作「モナ・リザ」。
この「モナ・リザ」は、
①左右に描かれている背景の地平線が一致しない
②X線解析した結果、表面に描かれている現在の絵の下に少なくとも3種類のモナ・リザが描かれていた
③モナ・リザのモデルには、様々な説があり、未だにはっきりとしていない
(レオナルド・ダヴィンチ本人だという説もある)
と、いったような謎にみちた絵画として知られている。
私は、こういった「実はあの文章には、こんなウラの意味が!」とか「あの絵画には、こんな謎が!」と、いったたぐいの話が好きで「モナ・リザ」に関しても、テレビや雑誌等で「新事実が発見された!」と、いったような記事があると必ずといっていいほど目を通していた。
その「モナ・リザ」の作者レオナルド・ダヴィンチをキーワードにしたミステリー映画が公開される!という、話を聞いて、私は、既に小説が大ヒットを記録していたこともあって
「これは、観に行かなくては!」
と期待していた。
ベストセラーになっている小説の評判は、どうしてもチラチラと耳に入ってはきていたのだが、私は、映画「ダヴィンチ・コード」を観る前に、できる限り映画を楽しみたいという理由から、小説はもちろん、どんな映画か?という情報も、可能なかぎり耳に入らないようにしていた。
と、いうのも、これまで小説を読んでから映画を観てしまったさいに、小説が面白ければ面白いほど映画の出来が悪いとがっかりすることが多く
「小説→映画」という、流れよりも「映画→小説」
と、いう流れのほうが、映画を純粋に楽しめることが多く、その後、小説を読むことによって映画でわからなかったことの補足を文章で補ってくれて、より楽しめる!と、いうことが経験的に多かったためだ。
しかし、どうも今回は、そういった「情報」をシャットダウンしてしまったせいで、ちょっと肩透かし的な印象を映画に持ってしまう。
と、いうのもこの映画、キャッチコピーが
「ダヴィンチは、その微笑みに何を仕組んだのか?」
だったこともあって、きっと
レオナルド・ダヴィンチが当時、自分の描いた絵画に謎を仕掛けていて、 それを解き明かしていくお話
だと、思い込んでいたのだが、お話は、ルーブル美術館で起こった「殺人事件」に巻き込まれた二人の逃亡劇という形をとっており、「謎解き」らしい「謎解き」は、行われず、「殺人事件」にキリスト教の歴史やダヴィンチが絡み合うというものになっていて
え?「ダヴィンチ・コード」なのに「ダヴィンチは、この程度の扱いなの?」といったような、あくまで物語のスパイス的な(もちろん、大きな鍵は握ってはいるのだが。。)位置づけで、決してダヴィンチや「モナ・リザ」がメインにはなっておらず、期待していた種類の話とは、違っていてショックを受けてしまう。。
また、作品としても、詰め込もうとした情報量が多かったせいか、きちんとしたミステリー作品のように、作品中にヒントを散りばめていて、そのヒントを物語の最後にきれいに収束させるという形式が取りきれておらず、お話としてスキが多く、すべてを観終わったあとにも、
「あれは、どうなったの?」
「あの人は、どうしてあんなことを?」
と、いったような疑問点が残り、すっきりできなかった。
(もちろん、たんなる私の理解力不足かも知れないのですが。。)
ただ、それでもなお、キリスト教の歴史を題材とした物語は、興味深く。
複雑で、ややこしいといった印象を受けてしまいがちな、キリスト教の歴史的変遷を知るきっかけとしては、多くの人に受け入れやすい形をとっていて、とても面白い。
もし、自分が高校か予備校の「世界史」かの教師ならば、キリスト教の歴史(あるいは「西洋美術史でも)を教える前に、この作品を見せて、「キリスト教の歴史って面白そう!」と、感じさせる「きっかけ」として是非とも利用したいくらい。
とりあえずは、これから、小説を読んで、映画では、わからなかったところを補完しようと思います。もう、文庫本もでていて、手軽な値段なのがちょっと嬉しい★
【動画】松尾貴臣2nd Maxi single「ゆりのき」PV公開 [動画]
ここ一ヶ月、ワールドカップのせいで、サッカーのことしか書いていなかったので、たまには、お仕事の話を(汗)
一応、映像作家なんて肩書きを名乗っているので、映像作品が発売された報告を。。
じつは、もう発売されて2週間も経ってしまっているのですが、今月の7月1日に、私、小川学が監督を務めたPV「ゆりのき」が収録されている松尾貴臣の2ndマキシシングル「ゆりのき 」が発売されました♪
- アーティスト: 松尾貴臣
- メーカー: サインポールレコーズ
- 発売日: 2006/07/01
- メディア: CD 価格:1000円
松尾くんには、1stシングル「そっと」でも、PVを依頼されていたので、今回で2度目のお仕事。
この「ゆりのき 」は、松尾くんが住んでいる西千葉にある「ゆりのき商店街」が商店街活性化のために発売したオリジナル化粧品「花」のイメージソングにもなっています。
そのため、PVの制作も全編「西千葉」ロケ。
西千葉駅や、千葉大学キャンパス、みどり台駅前等で撮影を行っており、「西千葉」在住の方や、かつて住んでいた方は必見!のPVになっています。
大変だったシーンは、ゆりのき商店街の前の道路の真ん中に立って唄ってもらうという場面をどうしても撮影したくて、車のいない時間を見計らって午前5時ごろに撮影をしたのですが、
それでも、交通量が多い道路のせいで、10数秒撮影しては、中止。また数秒撮影しては、中止。
と、車におびえながら細切れに撮影したこと。あれは、きつかった(そのあとの編集も)。。
実は、この「西千葉」。
最近、始まった上戸彩主演のドラマ「下北サンデーズ」でも、上戸彩は千葉大学出身という設定になっているらしく、千葉大学のキャンパスがある「西千葉」の映像がドラマの中で多数散りばめられているらしく、なんともタイムリー。
(実は、まだ、このドラマ未見なのですが、なざか上戸彩は自由が丘に一人暮らしして(実家は山梨)、西千葉にある千葉大学に通っているらしい。。なぜ?)【ドイツW杯レビュー⑩】イタリアvsフランス「歴史に語り告がれるであろうファイナル」 [サッカー]
4年に一度しか行われないサッカーの祭典、ワールドカップ。
その決勝戦を戦うという栄誉は、数え切れないくらいの参加国からたったの2カ国にしか与えられない。
2006年ドイツワールドカップの決勝の舞台に立ったのは、
もうひとつの「死のグループ」と呼ばれた、FIFAランク2位のチェコとFIFAランク5位のアメリカを倒しての堂々の1位通過を果たし、(ちなみにイタリアはこのときFIFAランク13位)。
初戦で日本を破った決勝トーナメントに進出したオーヅトラリアを激闘の末にトッティのPKで破り、
イタリア、セリエAで得点王に輝いたシェフチェンコを擁し、初出場ながらベスト8に勝ち上がってきたウクライナを倒し、
歴史に残るであろう、ドイツとの準決勝を延長戦後半残り2分から、2得点を奪うという劇的な勝利でくだして勝ち上がってきたイタリア。
そのイタリアに対するのは、
「ワールドカップが現役生活最後の大会」
と、明言し、負ければそこで引退という背水の陣で挑んだ英雄ジダンを擁するフランス。
グループリーグでは、チームの歯車がかみ合わず、スイス、韓国に引き分け、2位通過となってしまったが、決勝トーナメントの初戦であたったスペイン戦では、
ジダンの後継者と呼ばれるリベリー、マケレレと双璧をなすフランシの心臓ビエイラ、そしてジダンが得点を挙げ、
近年、上手く回ることがなかった歯車がついに回り始めた。
さらに、その勢いで、逆に最後まで本調子をだすことがなかったブラジルを破り、そして、準決勝ではポルトガルをジダンのPKでくだし、ついに決勝へ。
数々の輝かしい栄光に彩られたジダンの最後の試合は、ワールドカップの決勝戦という最高の舞台になった。
イタリアとフランスという対戦カードになった、この決勝戦。
試合前には、多くの人が
「ジダンに花道を飾らしてあげたいが、総合力で勝るイタリアが勝利するのでは?」
と予想していた。
また、両国ともに「守備力」が評価された国同士の対決だっただけに、0-0という結果もありうると言われていたのだが・・
試合は、開始直後、すぐに見せ場を迎える。
前半6分。
ロングボールをアンリがヘッドでつなぎ、マルーダがペナルティーエリアに進入すると、マテラッツィに倒されてフランスがPKを獲得する。
キッカーは、準決勝でもPKを成功させているジダン!
しかし、イタリアのゴールマウスを守るのは、チェコのGKチェフとともに世界No1GKと呼ばれているSGGKブッフォン!
緊張の一瞬。
ジダンは、なんとここでチップキック(ボールをふわりと浮かせてゴールを狙う)を選択!
ブッフォンは、完全に読みが外れ、逆方向に飛んでしまい、ボールはゆっくりとゴールへ吸い込まれる。
イタリア代表のトッティが、クラブチームでPKを蹴るときにたまにみせるこのキックは、成功率は、それほど高くはない。(トッティ自身も、決勝トーナメントの初戦オーストラリア戦でPKを蹴るさいにチップキックではなく、普通に蹴った)その、チップキックをワールドカップの決勝戦、そしてブッフォンを相手に決めてしまうジダンに心底しびれてしまった!
これで、フランスが1点を先取!
準決勝のポルトガル戦では、同じようにジダンが決めたPKが決勝点になっているだけに、「また、ジダンのPKで試合が決まるのでは?」という考えが浮かんでくる。
が、取られたらきっちりと取り返してくるのがイタリア!
前半19分。
ピルロの右コーナーキック。高いボールをファーサイドに送ると、マテラッツィが打点の高いヘディングシュート!
さっき、PKを与えたDFマテラッティが、汚名返上のヘッドで同点弾を叩き込む!
フランスが決めたら、イタリアがきっちり取り返すというスリリングな展開で試合開始17分で、1-1という予想に反するスコアに、「これが、決勝戦なんだなぁ!」と、興奮!
前半は、同点に追いついたイタリアがその後も支配率で上回り、中盤を省略してピルロを起点にロングパスをサイドに送り、何度もゴールを脅かすという展開になるが、追加点を奪うまでにはいたらず1-1のまま、後半へ。
このまま、イタリアペースが続くのかな?
と、思っていた後半。
フランスは、後半開始直後から猛攻をしかけるが、ここに立ちはだかったのは世界No1ゴールキーパー「ブッフォン」!
後半5分、アンリがDFをごぼう抜きし、ブッフォンと1vs1になり放ったシュートを素早い反応でキャッチ。
さらには、後半18分。
マケレレのスルーパスをペナルティーエリア手前でボールを受けるアンリ。
カンナバーロとの1対1になったところを、わずかにマークを外してシュート!
しかしGKブッフォンが横っ飛びのファインセーブ !
世界屈指のFWアンリ、世界屈指のDFカンナバーロ、世界屈指のGKブッフォンの世界屈指のパフォーマンスに、点は入らなかったものの感動!
その後も、フランスは攻め続けるものの、あと一歩のところでカンナバーロやブッフォンらディフェンス陣に阻まれて点に結びつかない。
後半11分には、ビエイラが負傷してしまうが、その後もフランスペースが続く中、イタリアは、選手交代でデ・ロッシとイアキンタ、さらにデルピエロを投入し、カウンターによる反撃を狙うが、決定機を作ることができない。
そして、勝負は90分ではつかず、延長戦へ!
延長戦も、フランスペースは変わらず、延長前半は、イタリアにチャンスは一度もなく、ひたすらフランスに攻め込まれるという展開に。
しかし、それでも決めることができないフランスは、疲労がみられていたリベリーに代えて、前線のターゲットを増やすためにトレゼゲを投入し、さらに攻撃的に!
そして、延長前半13分!
フランスは、ペナルティーエリア手前でジダンが右にパスをはたき、右サイドからサニョルがクロス。
そのクロスに合わせ、ジダンがゴール前に走り込みへディングシュート!
これは、決定的!!!
と、思われたスーパーシューートをまたも、GKブッフォンが片手でセーブ!
フランスは勝ち越しのチャンスをまたもブッフォンに阻止される。
相手がブッフォンでなければ間違いなく入っていたであろう、このシュート。放ったジダンも凄かったが、片手でふせいだブッフォンは、まさに神がかり的なセーブ!
ジダンのヘッドもこれが「現役最後の試合」のヘッドとは思えないほど強烈で、この試合があと15分ほどで決着が付いてしまうのが、寂しいなぁと感じていた矢先。
突然、衝撃の映像が!
ジダンが、マテラッツィと一言、二言、言葉を交わしたあと、突然の頭突き!悶絶するマテラッツィ!
えーーーーーー!
一体、何が起こったんだ?
と、戸惑っていると審判が異変にきづき副審と話したあと、ジダンへレッドカードが!
思わぬ展開にただ呆然となってしまう。
その後、すぐに試合が再開されるものの、観客はわかがわからなかったようでブーイングの嵐!
それから、試合終了までは、意気消沈したフランスをイタリアが攻め立てるもののゴールまでは奪えず、PK戦へ。
これまで、ワールドカップのPK戦で一度も勝ったことがないという負のジンクスを持っていたイタリアだったが、まずはピルロが落ち着いて決め成功。
一方のフランスも、ビルトールが決め成功。
二本目、イタリアは、この試合、PKを与え、得点をとり、そしてジダンを退場させたマテラッティが、落ち着いて決め成功。
フランスの次のキッカーはトレゼゲ。
かつて、EURO2000でイタリアとの決勝でゴールデンゴールを決めイタリアに悪夢を植えつけたことがあるトレゼゲ。
しかし、今大会はアンリとの2トップがかみ合わないという理由から出場がたったの3試合だったことが響いたのが、蹴ったボールはバーにあたり外へ。。
これが、決め手となり、PK戦を5-3で制したイタリアが、勝利!!!!
ブッフォンがスーパーセーブを見せるのかな?
と思っていたが、最後はトレゼゲのミスキックという自滅での敗北。やっぱりジダンの退場が、フランスに精神的な安定感を欠かせてしまったのかもしれない。
これでイタリアは、あの、ロベルト・バッジョが、アメリカ大会で果たせなかった夢をかなえ、1982年大会以来、4度目の優勝を果たす!
この結果を受けて、本当は、激戦を制したイタリアを心から祝福したかったのだけれども、どうしても、ジダンの退場が「なぜ?」と 感じてしまって、どうしても素直に祝福することができなかっりする。
ただ、それでも、この試合がジダンの退場劇を含めて
「長く歴史に語り継がれるであろう一戦」
であったことは、間違いないと確信しているし、その試合をリアルタイムで見ることができた、今を生きているという奇跡に感謝☆
今から4年後のワールドカップが楽しみ・・・!!
【ドイツW杯レビュー⑨】ドイツvsポルトガル「ありがとレジェンド、また会おうルーキー」 [サッカー]
2002年ワールドカップ日韓大会で、準優勝国ながら大会最優秀選手(MVP)と大会最優秀ゴルーキーパーいう栄誉に輝いた、ドイツが世界に誇る、SGGKオリバー・カーン。
この2002年のワールドカップ以外にも、
1999,2001,2002年に、 世界最優秀ゴールキーパー。
1999,2000,2001,2002 年に、欧州最優秀ゴールキーパー
と、いう個人タイトルを獲得し、所属クラブであるバイエルン・ミュンヘンでは、
2000ー2001シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ優勝 を筆頭に、
ブンデスリーグでは、2005-2006シーズンを含める6度のリーグ制覇という、輝かしい栄冠を手にしてきたオリバー・カーン。
37歳と、ゴールキーパーとして円熟の域に達した、ドイツ大会でも、当然のように正ゴールキーパーを務めると思われていたのだが、EURO2004でグループリーグ敗退後(カーンは、いつもどおりのハイパフォーマンスを見せていたが)にドイツ代表の指揮をとったクリンスマン監督のゴールキーパーのローテーション制により、
長年、ライバルと評されてきたイェンス・レーマン(カーンと同い歳!)と正ゴールキーパーを争うことになり、2005-2006シーズンにキャリアの中でも最高のパフォーマンスを見せたレーマンに、正ゴールキーパーの座を譲ることになる。この決定を受け
「正GKとしてワールドカップに出場できないのなら代表を引退する」
と、公言していたカーンは第二GKとして召集されていた代表を辞退するのでは?と、思われていたのだが、
「たとえ試合に出られなくても貢献できることはある」
と、ベンチに座りながらも、チームメイトを励ましたりと必死にチームの盛り上げに貢献する。
なかでも、初のPK戦となった準々決勝の対アルゼンチン戦では、これまで長い間、犬猿に仲といわれていたライバルのレーマンにカーンが肩を組んで、励ましていたシーンは、本当に思い出深い場面だった。
そして、準決勝、イタリアとの激戦に惜しくも敗れ3位決定戦に回ることになったドイツ代表の、ゴールキーパーには、オリバー・カーンが指名されることに!
そして、ドイツと3位を争うのは、準決勝でフランスとの接戦に惜しくも敗れたものの、ここまで勝ち残ると多くの人が予想することがなかったポルトガル。
このポルトガルで世界的に最も知られている選手であろ中心選手の一人、ルイス・フィーゴ(33)は、「黄金世代」と呼ばれたポルトガルのワールドユース選手権V2達成時に在籍していた、唯一の選手である。
フィーゴは、個人タイトルとしては、
2000年には、欧州年間最優秀選手(バロンドール)を受賞、
2001年には、FIFA最優秀選手賞を受賞し
所属したクラブでもレアル・マドリード時代に2001-2002年にUEFAチャンピオンズリーグ、優勝を果たすなど輝かしい栄冠を手にしてきた。
だが、クラブでの華やかな戦績と違い、ポルトガル代表では、EURO2004では準優勝を果たしたもの、ワールドカップでは、これまで、一度も決勝トーナメントに進めたことがなく、ユース時代に世界を制した「黄金世代」の最後の一人(他のメンバーはみな、代表を引退している)として、挑んだ今大会では、
司令塔のデコ、若手のC・ロナウド、GKリカルドの活躍もあり、40年ぶりとなる決勝トーナメントの進出を果たす!
が、準決勝でフランスに敗れ、これまた40年ぶりとなる3位決定戦に(40年前は3位)。
ドイツは、34歳のカーン!
ポルトガルは、33歳のフィーゴ!
すでに、「レジェンド(伝説)」と、言ってもいいような大ベテラン2人の最後の代表の試合になるのでは?と注目が集まった3位決定戦。
その輝かしいキャリアに恥じない活躍を二人ともが魅せてくれる!!
まずは、カーン!
前半15分にシマゥンのスルーパスに反応したパウレタがペナルティーエリアに抜け出して右足でゴール右を狙いシュート!
決定的なシーンだったが、カーンは完全に読み切ってセーブ!
かつて、敵チームのサポーターに点が決まる決定機をことごとくつぶすことから「悪夢」と呼ばれたカーンが、衰えることがない世界屈指の1対1の強さを見せつけてくれた。
今回のドイツの躍進の立役者の一人、21歳の若手シュバインシュタイガーの大活躍によって3点を取り、いくどか訪れるポルトガルの決定機もカーンの好セーブによりことごとく止められ、
「これはドイツのワンウェイゲームとなるのか?」
と思われた、後半43分、フィーゴが見せてくれる!
中央のMFデコからパスを右サイドで受けると4回ボールに触ってドリブルで縦に突進。
ゴール前を見ると、ドイツDFラインとGKカーンの間は約20メートル。
その真ん中に、速いクロスを通す!
「DFとGKの間に上げろ」
よいうクロスの「お手本」のような正確な弾道で、DFもカーンも追いつけないポイントに通されたボールにファーサイドのFWヌーノ・ゴメスがつめて、ゴーール!!!
フィーゴの真骨頂ともいえるような、美しく基本にそった「クロス」からのゴール!ポルトガルが一矢報い、これまでの快進撃が勢いだけではなかったことを知らしめた。
だが、ポルトガルの反撃もそこまで、結局、試合は3-1でドイツが勝利し、ポルトガルは40年ぶりの3位を逃し、3位は開催国ドイツの手に。
試合後、カーン、フィーゴともに代表からの引退を発表(ポルトガルは、他にもパウレタも)し、この試合が、偉大なる「レジェンド」二人の代表としての最後の試合になることに。。
「このチームで戦ってこれたことを誇りに思う。15年間もいた代表を離れるのは寂しい。しかし終止符を打つときが来た」(フィーゴ談)
「きょうの試合が代表でプレーするラストマッチになった。これ以上ない終わり方だった」(カーン談)
ちょうど、自分が世界のサッカーを見るようになった10年くらい前に、大活躍していた、選手の引退に胸が熱くなる。
この試合で見せた、二人のプレーは決して、「衰え」や「最後」を感じるものではなかっただけに、まだ見たい!とも思ってしまうけれども、年齢を考えれば悲しいけれども、しょうがないのかなぁとも。。。
ただ、ドイツ、ポルトガルとも、今大会での躍進には、ドイツはラームやシュバインシュタイガー、ポルトガルはC・ロナウドといった、20代前半の「ルーキー(若手)」の活躍があっただけに、両国ともに「これから」が本当に楽しみ。
2年後のEURO、4年後のW杯南ア大会では、どれだけ成長した姿が見られるのだろうと、考えるだけでも楽しい。
カーンやフィーゴの姿が代表戦でもう見れないのは残念だけれども、彼等がいなくなってしまうぶんまだ見ぬ若手が、現れるチャンスが増えたってことでもあるんね。
とりあえずは、サッカーの歴史に間違いなく名を残した「レジェンド」、カーン。フィーゴに「ありがとう」を贈りたいです☆
【ドイツW杯レビュー⑧】フランスvsポルトガル「ジダンのラストダンスの舞台は決勝に!」 [サッカー]
自国開催だった1998年のフランスワールドカップで優勝し、2年後に行われたEURO2000でも美しいサッカーを披露し優勝を勝ち取ったフランスは、2002年に行われた日韓ワールドカップでは、押しも押されぬ優勝候補だった。
直前にジダンが負傷し、予選リーグでの出場が難しいとされた時にも、
「フランスなら、ジダン抜きでも予選ぐらい楽勝だろう」
と考えられていた。
しかし、蓋を開けてみると開幕戦のセネガル戦でまさかの「0-1」での敗戦。
続く。ウルグアイ戦も「0-0」での引き分け。
勝たなければ予選敗退が決まるデンマーク戦では、ジダンが負傷した足に包帯を巻きながら出場したものの最後まで、攻守が噛み合うことはなく「0-2」で敗れ、結局、勝ち点1、無得点という散々な結果で早々に大会から姿を消してしまった。
このときに見た包帯を巻きながら苦悶の表情でプレーをしていたデンマーク戦でのジダンの姿は、本当に痛々しかったことを今でもはっきりと覚えている。。
そして、ポルトガル。
自国開催だった1991年のユース大会で優勝した「黄金世代」と呼ばれるルイス・フィーゴ、ルイ・コスタといったメンバーが成熟期を迎え、EURO2000でもベスト4という好成績を残し、優勝を目標に掲げて参加した2002年の日韓ワールドカップ。
しかし、ポルトガルも、アメリカと韓国に敗戦し、まさかの予選敗退という結果に。
あれから4年。
2006年ドイツワールドカップ準決勝は、「フランスvsポルトガル」という前回大会で屈辱を味わった国同士の対戦となった。
それも、お互いに準々決勝の場で、前回大会で好成績を残した国(ブラジルは前回大会優勝。イングランドも前回大会ベスト8)を破って勝ち上がってきたのだから面白い!
フランスは、英雄「ジダン」のラストダンスの舞台を最高の場である「ファイナル(決勝)」とするために8年ぶりの決勝の場を目指し、
ポルトガルは、史上初のファイナル(過去最高の成績は66年イングランド大会の3位)を目指して試合は始まった!
立ち上がりは、互いに中盤での美しいパスワークの応酬になる。
デコを中心として、ポルトガルが中盤でボールを優雅に回し、一気にサイドに振ってクロスを挙げる。これをフランスが拾うと、落ち着いて負けじと中盤で流れるようなパス回しを展開する!
だが、互いにゴールを脅かすまでには至らず、この美しいパスワークの応酬は、何度となく繰り返される。
ボール支配率も50:50の全くの互角の数字を伝え、この試合が拮抗したチーム同士の戦いであることを示していた。
しかし、前半32分。
互角と思われていた両者の戦いに大きな出来事が起こる。
フランスの左MFのマルーダが、ペナルティーエリアのアンリにパス。これをアンリは、柔らかくトラップし、鋭い切り返してゴールへ抜け出そうとしたところを、ポルトガルのカルバーリョが反射的に足を出してしまいアンリは転倒する。
このプレーに審判は、ファウルを宣告。
アンリらしいプレーで、フランスはPKを得る。
決めれば貴重な先制点。
この大一番で蹴るのはもちろん、ジダン!!
だが、ポルトガルのゴールマウスを守るのは、先日のイングランド戦でワールドカップ史上初という3人連続のPK阻止をやってみせた、SGGKリカルド!
緊張の一瞬。
ジダンはゴール左隅に強烈なシュートを放つ!
ジダンが左に蹴ることを読みきっていたリカルドも必死にジャンプし、指先がボールに触れるも、迷い無く放たれたジダンのシュートのパワーに弾かれボールはゴールネットに突き刺さる!!
最高のキッカーと最高のゴールキーパーとの戦いに心がブルブルと震える。まるで、漫画のワンシーンのようなPK戦を制したのは、ジダン!!
フランスが貴重な1点を挙げる。
先制されたポルトガルは、なんとか追いつこうと、それまでの美しいパスまわしを控え、クリスティアーノ・ロナウドのドリブル突破、マニシェの積極的なミドルシュートといったアクセントに富んだアグレッシブに攻撃を展開する。
後半のボール支配率は、59:41とフランスを上回り、シュート数も、フランスの5本に対して、倍以上の12本を放つものの
フランスのマケレレ、ビエラ、テュラムといった、ベテラン勢の要所を付いた守備に、フィニッシュの精度を欠き、どうしてもゴールが割れない。
ロスタイムのポルトガルのコーナーキックのチャンスにはGKリカルドまでもが上がり、11人全員で攻撃するもののあえなく不発。。
結局、PKでジダンが決めた1点が勝負を決し、フランスが勝利!!!
このワールドカップを機に現役を引退することを明言してきたジダンは、自らの足で決めた得点で、ラストダンスの舞台を最高の場所である「ファイナル(決勝)」へと導いた。
なんて、ドラマチックな展開!4年前の屈辱でさえも、今大会の布石のようにすら感じてしまうほど。
それにしても、この試合の見所は、なんといってもPK!
本当にハイクオリティなPK戦で、まさに手に汗握ってしまった。
(後半のC・ロナウドのビックリするくらい急角度で落ちるカミソリFKも凄かった。このとき、フィーゴが決めていれな試合はわからなかったかも。。)
決勝の相手は、開催国をドイツから最後の2分で2得点を奪い破ったイタリア!
アズーリ(イタリア)対レ・ブルー(フランス)という青の対決に、今から興奮してしまう!!
あと、2試合でワールドカップが終わってしまうのは、寂しい気もするけれど、あと2試合にどんな名勝負が待っているのか、考えるだけでもドキドキしてしまう。
【ドイツW杯レビュー⑦】ドイツvsアルゼンチン「This is the World cup!」 [サッカー]
ブラジル、アルゼンチン、ドイツ、イタリア、フランス、イングランド、ウルグアイ。
オリンピックよりも多くの国が参加する、世界最大のスポーツの祭典、ワールドカップで、優勝した国はたったの7ヶ国しかない。
その7カ国のうちのひとつで、過去に2度の優勝経験があり20年ぶりの優勝を目指すアルゼンチン。
対するは、3度の優勝経験があり開催国として16年ぶりの優勝を目指すドイツ。
互いに優勝候補の呼び声も高く、歴史あるサッカー2大国の対決となったドイツW杯準々決勝、ドイツvsアルゼンチン戦は、
「これぞ、ワールドカップ!」
と、叫びたくなるような激闘になった。
立ち上がりは、アルゼンチンが優位にたつ。
中盤で指導権を握り、素早い囲い込みからドイツにボールを持たせない。
前半のボール保持率は実に65%をアルゼンチンが占めた。
しかし、ボールを支配してゴール前までは行けても、そこからドイツの堅守に阻まれる。
その突破力を買われて、これまで好調だったサビオラに代わって先発起用されたテベスも抜けだすことができず、前半を終えて、アルゼンンチンのシュートはリケルメのわずか1本という結果に。
迎えた、後半4分。
リケルメが蹴ったコーナーキックを、DFのアジャラがヘッドであわせてゴーール!!アルゼンチンが先制点を挙げる!!
得点を決めたアジャラは、177cmと決して体格に恵まれているわけではないのだが、バランス感覚とゴール前での強さに優れており、このゴールシーンでも、ドイツのクローゼに肩で押されれながらも、バランスを崩すことなく強烈なヘッドを決めていた。
これで、一気に苦しくなったと思われたドイツだが、リードされたことで、これまで守り気味だった展開を一気に攻勢に転じさせる!
一方、アルゼンチンは、71分、CKでクローゼと衝突し負傷したGKアボンダンシエリを下げ、72分には疲れが見えていた攻撃の要リケルメに代えてカンビアッソを投入し、守備の意識を強める。
アルゼンチンは、この時点で、交代枠の3人を使い果たし、試合を決めるジョーカーとして出場が期待されていた、メッシ、サビオラ、アイマールといった攻撃的な選手を投入せずに、この戦いを乗り切ろうとしたのだが・・
後半80分、 左サイドからバラックがクロスを挙げると、ボロブスキーがヘッドできれいにゴール前に流すと、クローゼがDFと競り合いながらへディングシュート!
ボールは、ゴール左隅に突き刺さり、値千金の同点弾が決まる!
試合は、その後、一進一退を繰り返すも、互いに決勝点を挙げるにはいたらず、30分間の延長戦を終えても決着が付かずPK戦へ。
ドイツのゴールマウスを守るのは、今期チャンピオンズリーグで無失点記録を作り上げたレーマン!
前大会で最優秀選手賞を獲得したGKカーンと常に比較されつづけ、
プライベートでも犬猿の仲なのでは?
と、報道されることもあったレーマンとカーンだったが、
PK戦前、ピッチに座り込んで集中力を高めているとカーンがレーマンの耳元に何やら話しかけ、2人の間でがっちりと固い握手を交わしているではないか!!
決して、同じチームメイトとして同時にピッチにたつことができない名ゴールキーパー同士のそのやりとりは、まるで、映画の一場面のようで、なぜだか無性に胸が熱くなってしまった。
そして、迎えたPK戦では、そのレーマンがアルゼンチンのシュート4本中2本を止めるという好セーブを魅せ、4-2でドイツを勝利に導く!
後からニュースで知ったんだけども、レーマンの神がかり的な好セーブには秘密があって、PK戦のときにアルゼンチンの選手のPK時のクセを書いたメモをソックスの中に忍ばせておいて、確認していたとのこと。
ついつい、まるで「運」がすべてのように感じてしまうPKだけども、そういった緻密な情報戦が行われていることに感服。
ゴールキーパーって本当にすごいポジションだなぁと、改めて再確認してしまいました。
それにしても、本当に面白かったこの試合♪
未だに、ニュースでダイジェストが流れるたびに感動して、涙ぐんでしまいます。(雑誌のレポート記事を立ち読みしても、泣いてしまった(汗))
実は、この試合、試合後にバラックが語っているように
「見ている人にとってはそれほど美しい試合とは言えなかったかもしれないけど、お互いに戦術的に高いレベルの試合で、ミスも少なかった。PK戦での勝利にはツキもあるが、ドイツは勝利に値すると思う」
決して驚くようなゴールシーンや鮮やかなパス回しが連発したスペクタルな試合ではなかったけれども(それでも、得点シーンはどちらも美しいと思う)この戦いが決勝戦だったとしてもおかしくいような名勝負に私は感じてしまった。
こんな戦いをリアルタイムで観れるということだけど、生きてて良かったとさえ思ってしまうほどに(笑)
敗れてしまったけれども。アルゼンチンは本当に魅力的なサッカーを今大会見せてくれたし、ドイツの勝負強さは、観ていて痺れてしまった。
ドイツの次の相手はイタリア!
大会前の親善試合では、1-4で負けている相手だけども、今大会の勢いがあるドイツが生まれ変わった姿を見せてくれるのか楽しみ☆