SSブログ

ないかな ないよな きっとね いないよな・・/フジファブリック志村さん急遽に驚き悲しむ [音楽]

眠る前にYahooニュースをみて思わず声をあげてしまった。
フジファブリックのボーカル&ギターである志村正彦が急遽したと記されていたからだ。

まだ29歳。。
原因は病死(病名は不詳とのこと)。

才能あふれる大好きなミュージシャンの突然すぎる死に動機が止まらなくなる。。

悲しい。
という言葉だけではうまく表せない想いを落ち着かせるために久しぶりにブログを書いてみます。



2008年すり切れるくらい回転させていたアルバムのひとつがフジファブリックの「TEENAGER」でした。

「夢の中であやかしパッション  響き渡るファンファーレ 僕は踊る道化師のようだね」
(フジファブリック/パッションフルーツより)

2007年の秋ごろに発売されたパッションフルーツという曲の妖しさとかっこよさに衝撃を受けて、「今度アルバムがでたらチェックしよう。」と心に決め、大きな期待とちょっぴりの不安が混ざりながら聴いた「TEENAGER」は、期待以上の傑作で僕の大好きなアルバムのひとつになりました。

「夕方 5時のチャイムが 今日はやけに胸に響いて 「運命」なんて 便利なもので ぼんやりさせて」
(フジファブリック/若者のすべてより)

優しくどこかせつなげなメロディーそして志村さんの独特の歌声が寂しくってしょうがない夏の終わりを強烈に思い起こさせてくれてる「若者のすべて」や

「ヒッピーになって荒野を裸で歩きたくなる なんてイカレタことを言う チョコレートのジュースをぐっと飲み干した君の 口は少し汚れている」
(フジファブリック/ChocolatePanicより)

独特の言語センスとメロディーが絶妙に融合していて「オシャレ」な雰囲気あふれる「ChocolatePanic」までバラエティ豊かだけども一環して青春の青臭さを感じる「Teeager」のタイトルがふさわしいこのアルバム、個人的には名盤だなぁと感じてやまないのでたくさんの人に聴いてもらいたいと願ってやみません。

最新アルバムの「CHRONICLE」もカッコよかったから、2010年の活躍も当たり前のように期待していたし、来年はライブにも行ってみたいなと思っていたのに。。。


人はいつか必ず死ぬし、長生きできる保証なんてどこにもない。
だからこそ、心を振るわせてくれるミュージシャンと同じ時代に生きているだけでも奇跡なんだと
今更ながらに感じています。


もう、フジファブリックの新曲が聴けないのか。。
あぁ、、、悲しいなぁ。。

志村さんの歌声や紡ぎ出してくれた歌詞やメロディー、それにギタープレイも大好きでした。
ありがとうございます。

チャットモンチー「女子たちに明日はない」 [音楽]

走ったってみつからない

 叫んだって届かない

 わかってるのは ただ一つ
(チャットモンチー「女子たちに明日はない」より)

ネガティブポジティブ
略してネガポジ

きっと、明日は晴れると思って生きていて、雨だったら悲しい。
だったら、私は雨女だから大事な日はどうせ雨なんだって覚悟していた方が、晴れたときには嬉しいし、雨になっても「やっぱりな。」って納得できる。

私は、ネガティブな未来しか期待していない。
けど、だからこそ、毎日がとてもポジティブだ。

そんなふうに、自分のことを「ネガポジ(ネガティブゆえのポジティブ)」だって教えてくれたあのこはまさに「女のこ」なんだろうな。

なんてことを届けられたばかりのチャットモンチーの新曲に耳を澄ましながら考えてしまった。

 

2006年、このブログでネクストブレイクアーティストの一組(ガールズバンドのイチオシ)として挙げたチャットモンチー。
ファーストフルアルバム「耳鳴り 」や前回のシングル「シャングリラ 」がオリコンでTOP10にランクインして、随分とその知名度をあげてきた、彼女達から今年、初めて届けられた新曲「女子たちに明日はない」は、まさに「ネガティブな言葉が満載のポジティブ」な楽曲だ。

 

やりたいことが多すぎて

 散らかった狭い部屋

 何から何まで捨てられたなら

 どんなにも どんなにも

 

ノリのいいサウンドに載って、この曲で歌われているのは、切迫感のある現実。

頑張れば 夢が叶う

なんてノーテンキに応援する歌には持ちえない「リアリティ」が歌われているからこそ、逆に自分の背中を押してくれるようなポジティブさを感じてしまう。

 

女子たちに明日はない。

 あるのは、今だから

 

って、男子の俺にもだけど。。。

4月18日に発売のこの曲。

女子はもちろん、男のこにもオススメです。

まだ、この曲しか聴いていないけどカップリングも楽しみ。

女子たちに明日はない

女子たちに明日はない

  • アーティスト: チャットモンチー, 福岡晃子, 高橋久美子, 橋本絵莉子
  • 出版社/メーカー: KRE
  • 発売日: 2007/04/18
  • メディア: CD

nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(1) 
共通テーマ:音楽

「匂いが呼び覚ますのは・・・」宇多田ヒカル「Flavor of life」 [音楽]

「友達でも 恋人でも ない中間地点で

 収穫の日を夢みてる 青いフルーツ

 あと一歩が 踏み出せないせいで じれったいのはなんで」

(宇多田ヒカル「Flavor Of Life 」より引用)

Flavor Of Life

Flavor Of Life

  • アーティスト: 宇多田ヒカル, Alexis Smith, 冨田謙
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 2007/02/28
  • メディア: CD

 友達以上、恋人未満。

と、いう恋愛関係ではありふれた距離感を「収穫を待つフルーツ」に例えている歌詞。誰もが何気なく使っている言葉たちで、誰も思いつかないような例え方をしてみせる彼女の言葉のセンスが私はとても好きだ。

 

「なんか私、匂いがね。すごく、記憶に残るんだよね。何かの匂いがした瞬間に忘れてた遠い昔のこと思い出したりとか・・。」

「ああ、それはみんなそうだよ。人間の脳は、そういう造りなんだ。」

「脳?」

「嗅覚を司る部分が記憶や感情を司る場所と直結してるんだよ。視覚なんかは別の場所を経由するんだけどね。だから匂いが記憶を鮮明に呼び覚ますんだ。」

Nana (15)作・矢沢あいより 引用)

Flavor Of Life」と名づけられた宇多田ヒカルの新曲を聴いていると、Nana の15巻の中で交わされていたヤスとミウの会話を思い出してしまった。

 

と、いうのもタイトルにもなっている「Flavor」(たぶん日本語訳としては、「風味」とか「特色」といった言葉の方が知られているのだが)が連想させる言葉は「匂い」だからだ。

 

この曲の歌詞の中にも

「忘れかけていた人の香りを突然思い出すころ」

なんて一節があって、やっぱり「匂い」を連想させてくれる。

 

もともと、日本語には日本語の、英語には英語にしか持ち得ないニュアンスというものがあって、日本語に訳すると台無しになってしまう歌や映画のタイトルがたくさんあるのですが、あえてこの曲名に日本語訳を付けるのならば「人生の芳しさ」なんてどうかな?となんて、考えてみたりして。。

 

現在、この曲は、バラードバージョンがTBSで放映されている「花より男子2」の挿入歌として、流れていますが、先日、有線放送からこの曲のオリジナルバージョンを耳にしたのですが、また雰囲気が違ってイイ感じでした。

 

切なさが募る情景が浮かぶバラードバージョンよりも、もう少し

「思い通りにいかない時だって 人生捨てたモンじゃないって」

と、いうフレーズが強がりではなく(バラードバージョンでは時折、挟まれるそういう前向きなフレーズが逆に切なくさせているのに対し)本音に聴こえてきて、遠まわしな応援歌に聴こえてくるほど。

 まだ、ドラマでしか聴いたことがない!

と、いう人にも是非、オリジナルバージョンにも耳を傾けて、その違いを楽しんで欲しいです。バラードバージョンの方は、Yahoo動画の方で視聴できるみたいなので、まだ未見の方は、そちらもどうぞ♪


nice!(1)  コメント(4)  トラックバック(2) 
共通テーマ:音楽

叱りながら愛していたい♪「シャングリラ」Chatmochy(チャットモンチー) [音楽]

「シャングリラ  幸せだって叫んでくれよ

 時には僕の胸で 泣いてくれよ

 シャングリラ  夢の中でさえうまく笑えない

 君の事ダメな人って  叱りながら愛していたい」

(チャットモンチー「シャングリラ 」より)

 

今からもう6,7年も前になってしまうが、私がまだ大学生でファミレスでバイトしていたときのこと。

同じバイト先の女子高生に何度か恋愛相談を受けたことがあった。

「かまってくれない」

「連絡をしてくれない」

という可愛いものから、時には

「避妊してくれない」

なんちゅう、ヘビーなものまであって、当時の自分は、戸惑いながらも思いつく限りの答えを返していたのだが、その場では、

「そうですよね」

「そうしたいと思います」

なんて、答えているのにちっとも問題解決のために行動しようとしなかった彼女たちを見ていて、答えがでているのなら相談する必要があるのかな?

なんて当時は思っていたのだが、

今、思うとあれは本人たちの自覚があるかないかはわからないが

「相談する」という形の一種のお惚気(のろけ)行為だったのかもしれないなぁ~。

 

なんてことをボンヤリとチャットモンチーのニューシングル「シャングリラ 」を聴いていて考えてしまった。

 

待望の1stフルアルバム「耳鳴り 」から4ヶ月ぶりにとどけられた彼女たちの新曲は、一聴するとハッピーなラブソングに聞こえてくるのだが、この曲、よくよく歌詞に耳を傾けると

 

「夢の中でさえうまく笑えない 

 君の事ダメな人って叱りながら愛していたい」

「胸を張って歩けよ  前を見て歩けよ

 希望の光なんてなくったっていいじゃないか」

と、いうフレーズから浮かんでくる恋人像は、どうにも頼りなく情けない。

 

でも、だからこそ、そんな頼りない恋人を「ダメな人」と叱りとばしながらも「愛していたい」と、歌いきるからこそこの歌には、

「私のダーリンは完璧!だから大好き!」

と、歌い上げているラブソングなんかよりもよっぽど強い「愛」を感じてしまった。

 

結局、「叱る」という行為や「誰かに愚痴をこぼす」という行為でさえも「対象(恋人)」に対して、愛しさを持っていれば、全て「愛情表現」なのかなぁと、この歌で再確認してみたりして。

 

 

また、この歌、歌詞だけではなく、曲の方も、シンプルなメロディやリズムの重なりのようなのに、サビがかなり変則的なリズムだったりして、相変わらず面白い♪

荒削りなサウンドも「ロック」なたたずまいを感じて、かっこいいくらいだし。

 

 

そうそう、どうやらこの曲、安野モヨコ原作で話題の「働きマン 」の主題歌にも起用されたせいもあるのか、来週のオリコンでTOP10に入るみたいですね!

思えば、昨年のデビューミニアルバムから気に入って、今年の年初には「今年のブレイクすると思う」アーティストの一組にあげていたので、やっぱり嬉しい。

 

このブログで、何回も取り上げたせいもあって、最近では、結構、友人、知人にも知名度が上がったチャットモンチー。もし、まだ、聴いたことがないって人は、是非、是非、御一聴を♪

個人的には、これからの日本の音楽シーンを引っ張る一組だと確信してるバンドのひとつなんで。

シャングリラ

シャングリラ

  • アーティスト: チャットモンチー, 高橋久美子, 福岡晃子
  • 出版社/メーカー: KRE
  • 発売日: 2006/11/15
  • メディア: CD


nice!(0)  コメント(6)  トラックバック(1) 
共通テーマ:音楽

’05年の私的ナンバーワンソング「JOY」YUKI  [音楽]

2005年のナンバーワン「J-pop」ソングは、何だった?

 

と、尋ねられたとして、あなたなら、どんな曲をあげるでしょうか?

昨年も数多くの名曲がたくさんのアーティストから届けられましたが、「1曲を選べ」と問われれば、個人的には、YUKIJOYを挙げたいと思います。

 

JOY

JOY

  • アーティスト: YUKI, 蔦谷好位置, 田中ユウスケ, 湯浅篤, Mutiny, Eric Kupper, 高木正勝
  • 出版社/メーカー: ERJ
  • 発売日: 2005/01/19
  • メディア: CD

「いつだって 口からでまかせばかり喋っている

 イエス ノー どちらでもないこともあるでしょう

  いつだって世界は私を楽しくさせて

  いつか動かなくなる時まで遊んでね」

(YUKI「JOY」より抜粋)

 

この「JOY」の歌詞は、誰にでもわかる簡単な言葉だけで構成されていて、なんとなく聞き流していると童謡のような牧歌的な印象を受けてしまうのですが、

 

例えば

「誰かを愛すことなんて ホントはとても単純だ」

と、一番で唄ったあとに、2番では、

「誰かを愛すことなんて、トキドキとても困難だ」

と、いうような一見、矛盾しているようだけれども、「あー、そうだよねぇ」と思わず感心してしまうような表現をしています。

 

「JOY」には、このような「人生」「恋愛」の真理を指しているかのようなドキっとする表現が随所に散りばめられていて、聴くたびにそれらの言葉が表情をかえて語りかけてきます。

 

 

また、耳になじみやすくキャッチーメロディも、多くの人に口ずさめる大衆性(ポピュラリティ)を持っており、それでいてYUKIの伸びやかな声で歌われると唯一無二の表情をみせてくれるような「二面性」を感じさせるものです。

 

このように、「歌詞」「サウンド」も、老若男女に受け入れられる大衆性をもちながら、聴き手一人ひとりの懐に入っていけるような「深さ」も持ち合わせている、このYUKI「JOY」は、

 

個人的には、90年代に生まれた「J-pop」という音楽ジャンルのひとつの完成形かもしれないとすら思ってたりします。

 

 

また、個性的なアートワークにも定評があるYUKIは、PVも独創的で面白いものが多いのですが、なかでも、この「JOY]のPVは、たくさんの独創的なアイデアが詰まったコミカルで不思議な世界観をかもしだしたものになっており、昨年のビデオオブザイヤー(ミュージッククリップNO.!)を受賞した傑作です。

 

この作品、宇多田ヒカル浜崎あゆみのように「予算」「技術」をかけてるなぁ~というタイプのものではなく、

「映像」という表現ジャンルでも、「CG」「お金や時間をかけた派手なロケ」なんかに頼らなくても、アイデアしだいで面白いものが作れるんだ

という、お手本のような作品なんで、個人的にもすごく勉強になるし大好き。

(ちなみに、YUKIは「スタンドアップ!シスター 」のPVもかなり面白い演出をしてるので、観たことがないひとは一度は見て欲しいです)

 

と、どうして今さら、「JOYのレビューを書いたのかというと、そのYUKIの半年振りの新曲ふがいないやが、本日(8月9日)、発売されたからだたりします!

 

実は、この記事、「ふがいないや 」の前フリに大好きな「JOY 」のことをちょろっと書こうと思って書き始めたのですが、結構、長くなってしまったので、これはこれで一つの記事にしちゃおうかと(汗)


nice!(1)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

僕たちオトコノコ。「耳鳴り」チャットモンチー [音楽]

「君たち 女の子 僕たち男の子

 ヘイヘイヘイ(ヘイヘイヘイ) ヘイヘイヘイ(へいへいへい)

 おいで遊ぼう

 僕らの世界へ 走っていこう」

(男の子女の子/郷ひろみ・作詞筒美京平)

 

ミニアルバム「chatmonchy has come 」で、衝撃的なデビューを果たし、1stシングル「恋の煙で、その破格の才能を知らしめ、2ndシングル「恋愛スピリッツで、その規格外の才能の底知れなさを確認させてくれた、個人的にも今年、イチオシの徳島発のガールズ3ピースバンド、チャットモンチー。

 

彼女たちの、デビューアルバム「耳鳴り をエンドレスリピートで聞いていると、不思議と冒頭に記した、郷ひろみ「男の子女の子」(今、改めて読み直すと筒美京平って本当に天才だと感じる歌のひとつだったりします。)を口ずさんでしまっていた。

 

私にとっては、それぐらい強烈に、このアルバム「耳鳴り 」は、 

 

私が、「男」で、彼女たちが「女のこ」

 

だということを突き付けられる作品でした。

 

 

 「広がるのは ただ切れ間ない青のコラージュ

 少年は バスケットボール枕にして 空に浮かぶ明日をみてる」

 (ウィークエンドのまぼろし/作詞・高橋久美子)

 

変則的なドラムのリズムで始まるのに、不思議とポップな印象を与えてくれる3曲目に収録されている「ウィークエンドのまぼろし」。

ドラムの高橋久美子が作詞を担当しているこの曲では、まさに「青春の1ページ」といった爽やかな情景描写から始まっているのに、

 

「ねぇ、いつまでも空はこんなに青いのかな?

 ねぇ、いつまでも風はこんなに透明なのかな?

 ねぇ、いつまでも春の次は夏なのかな?

 最悪の日曜日」

(ウィークエンドのまぼろし/作詞・高橋久美子)

 

と、巡るめく美しい季節を唄いながら、最後のフレーズで「最悪の日曜日」とばっさりと切り捨ててしまっています。

 

この感覚、「思春期の女のこ」なら考えていそうなことだってことは、「理解」はできるのだが、決して男性である自分には、生まれてこない感情で、正直、歌詞カードを見る前に初めて「最悪の日曜日」のフレーズを聴いた時には相当ビックリしてしまいました。

 

それにしても、デビューミニアルバム「chatmonchy has come 」のリード曲でもあり、この「耳鳴り 」にも、ALBUMバージョンでも収録されている「ハナノユメ」でも、感じたのだが、高橋久美子の書く詩には、どれも女性特有の「狂気じみた何か」を感じさせてくれて、ちょっと怖いのだが、そこがまた面白い。

 

 「ハチノ巣みたいだ 東京

 働きバチの行列だ

 私はまだやわらかな幼虫

 甘い甘い夢をみてる」

(東京ハチミツオーケストラ/作詞・福岡晃子) 

 

 そして、このアルバムの冒頭を飾る、徳島出身の彼女たちの「上京ソング」とも呼べるであろう「東京ハチミツオーケストラ」。

 1stシングル「恋の煙」のなかでも、

「当たりくじだけのくじ引きがしたい」

と、いうようなセンス溢れる言葉選びのセンスを見せ付けた、ベースの福岡晃子が作詞するこの曲。

 

上京してきた、彼女が感じた、まだ見慣れていない風景である東京の様子を「ハチの巣」に見立て、メジャーデビューが決定し、とんとん拍子で上京までこぎつけたであろう彼女たちが

「私はまだやわらかな幼虫

 甘い甘い夢をみてる」

と、唄いながらも

「そんなに甘くはないよって

 早く 誰か教えてよ」

と、明るい未来に希望だけを抱いているわけではいないことを「歌詞」の中にきっちりと織り交ぜているところに、なんだかとても「女性」っぽさを感じてしまいました。

 

「あの人がそばにいない

 あなたのそばに今いない

 だからあなたは私を手放せない」

(恋愛スピリッツ/作詞・橋本絵莉子)

 そして、2ndシングル「恋愛スピリッツでも、そのストレートな表現とシンプルな言葉で心に突き刺さる歌を見せてくれた、ボーカル、ギター、そして、全ての楽曲の作曲を担当する橋本絵莉子の紡ぐ歌詞には、

「どなる、でんわ、どしゃぶり」

と、言った本当に思い浮かんだ言葉を並べただけ(なのに、情景が色々と想像できてしまうからスゴイ)のタイトルをつけた、恋人の最後の別れの電話を唄った5曲目に代表されるような

 

具体的な情景を描いているのに、少ない言葉数で、極めてシンプルな表現をしているせいで

 

まるで、「女のこ」の心の中を覗き見したような錯覚に陥ってしまうぐらいに生々しい印象をもってしまうほど。

 

 

 

と、こうやって、3人の紡ぐ歌詞に「女のこ」を感じた場所をそれぞれ書き出してみて、改めて感じるのは、チャットモンチーの3人ともが個性的な味を持った歌詞を書いているなぁ~ということ。

 

全ての楽曲の作曲をしている、橋本絵莉子というどでかい才能に触発されて開花したのか、それとも、似たもの同士が自然と集まるように終結したのか、なんにしても音楽の神様の存在を信じたくなるような奇跡的なバンドだと思う。

 

このアルバムでは、そういった3人の個性が、これまでシングルやミニアルバムよりもずっとわかりやすく感じることができるので、そういった楽しみかたも面白いですよ。

 

また、元スーパーカーいしわたり淳治をサウンドプロデュースに迎えた、その音も、予想以上にポップで聴きやすいのだが、いざ、口ずさんでみようとすると、変則的なリズムに気づかされたりして、一筋縄ではいかない感じで楽しめます♪

 

もともと、ライブが評判になって、口コミでそのウワワが広がってきたチャットモンチー。

私の周りでも、すでにライブでチャットモンチーを聴いた人がちらほらいるんだけれども、「CDよりスゴイ!」とかなりの好評価です。(朴訥なMCも、好評。)

 

サマーソニックへの参加も決まったりみたいだし、このアルバムをひっさげた「耳鳴りツアーなり」もやるみたいで、それも楽しみすぎる!!!

 

まだ、彼女たちの曲を聴いたことがないというあなた!

本当にもったいないと思うんで、是非ぜひ、このアルバムを聴いてみてほしいです。心から。

耳鳴り

耳鳴り

  • アーティスト: チャットモンチー, 福岡晃子, 高橋久美子, 橋本絵莉子
  • 出版社/メーカー: KRE
  • 発売日: 2006/07/05
  • メディア: CD


nice!(1)  コメント(8)  トラックバック(6) 
共通テーマ:音楽

この夏の散歩のお供に♪「TEXAS」安藤裕子 [音楽]

雨上がりの風の匂いや

 

日が落ちる寸前の日差しの柔らかさや

 

夜空に流れる白い雲の美しさ 

 

そんな、思わず誰もが歌にしたくなるような風景を詩として紡ぎ、そして独特の透明感を持った声で歌いあげることができるシンガーソングライターの一人、安藤裕子

 

「ふ♪た~り~の~♪ じ♪か~ん~も~♪」

 

と、彼女が歌う「のうぜんかつら」が、月桂冠のCMにノークレジットで使用されていたため、問い合わせが殺到してニュースになり、

 

また、その「のうぜんかつら」が収録された最新アルバムが「Merry Andrew」10万枚を越すヒットを記録したりと

 

今、旬な女性シンガーソングライターの一人であろう彼女の最新シングル「TEXAS 」は、これから、天井しらずに暑くなりそうな、この夏の清涼剤になってくれそうな極上の「切なポップ」ソングだ。

   

「僕なりに考えて 出した答えの中に

 君だって 何だって

 いつまでも紡ぎたいんです

 

 風がぬるくたって  君が手をつなぐなら

 汗ばんだ手を拭いて

  いつまでも 歩いてこう」

TEXAS /安藤裕子より)

 

こんな唄いだしで始まるこの歌に耳をすますと

 

 

夏の日の暑さが残る、生ぬるい風が漂う夕暮れに

散歩にでかけた「僕ときみ」

何かのきっかけでケンカしてしまって

ちょっと気まずい空気になったのだけれども

しばらく歩いているうちに「僕」が微笑みかけたことがきっかけで

「君」も手を伸ばして

二人は手をつないで仲直りしてしまう。

 

 

そんな、情景が浮かんできてしまった。

 

 

「異なった」価値観を持つ「人」同士の二人が

「同じ」時間を共有する「恋人」という関係。

 

想いあっていても、傷つけあってしまうのは

悲しいことなのかも知れないけれど

それでも、「手をつないで」一緒に歩いていこう

 

と、歌い上げるこの歌は、優しく、そして、ギュッとするほど「切ない」気持ちにさせてくれる。

 

 

サウンド安藤裕子の個性的な歌い方を、気持ちよく色づかせるために響きあう

ドラム、ベースライン、ギター、そして、オルガン・フレーズが本当に耳に心地よくって

 

今日みたいな、じっとしているだけでも汗ばんでしまうような夏の日の夕暮れに、散歩のお供として連れ出したくなる一曲です☆

 

TEXAS

TEXAS

  • アーティスト: 安藤裕子, 山本隆二, 岡田冨美子, Pim Koopman
  • 出版社/メーカー: カッティング・エッジ
  • 発売日: 2006/07/26
  • メディア: CD


nice!(0)  コメント(7)  トラックバック(10) 
共通テーマ:音楽

「風船ガム」キャプテンストライダム [音楽]

自分の言葉(歌詞)を、自分が作り出したメロディ(作曲)にのせて、自分の声で唄う(ボーカル)、シンガーソングライター(歌い手兼歌の作り手)。

 

音楽を聴くようになってから、歌詞に共感したり、そのメロディに心揺さぶられた時に、誰もがそうするように、私も、いつからか作詞、作曲者を確認するようになったのだが

じつは、そんな風に作詞作曲者を確認するようになってから、Mr.childrenや、spitzウルフルズのような高校時代から私が大好きなバンドの多くが、ボーカリストが、作詞・作曲を担当していることが多かったせいもあって、

自分の言葉を自分が生み出したメロディに載せて歌っている彼等のような「シンガーソングライター」が、プロデューサーや作詞家・作曲家や、自分たちで曲を書いていないミュージシャン達よりも、「エライ」存在であるかのように思い込んでしまっていた時期があったりする。

 

あれから、高校時代よりも、もっともっとたくさんのジャンルの音楽を聴いていくうちに、どんな人が書いた曲も歌いこなしてしまうボーカリストが唄う曲や、どんなアイドルやミュージシャンにもその人にあったステキな曲を提供してしまう作詞家や作曲家が生み出した名曲に触れていくうちに、

 

作詞もできて、作曲もできて、ボーカリストである、彼らシンガーソングライターが、スゴイ人たちであることに間違いないのだが、「作詞」のプロフェッショナルや、「作曲」のプロフェッショナルやプロデューサーと比較してしまうのは、

左打ちの4番打者よりも、左右両方ともで打てる1番打者のほうが、無条件に「優秀」だと言っているようなもので、

実は、とっともナンセンスな(意味が無い)ものだったんだなと、気づくようになってきた。

 

そんなことを、日本を代表する作詞家「松本隆」が作詞を担当した、キャプテンストライダムの新曲「風船ガム 」を聴きながら、思い出したりした。

 

小川学的、今年イチオシの男性バンドキャプテンストライダム

 

2月にアルバム「108DREAMS 」を発表した彼等が、次の一手に繰り出したシングル「風船ガム 」では、キャプテンストライダムが所属する風待レコードを主催し、大田裕美の「木綿のハンカチーフ」やKinkikidsの「硝子の少年」、寺尾聡の「ルビーの指輪」等、代表曲を挙げればキリがない、まさに日本を代表する作詞家「松本隆」が作詞を担当している。

 

前回のシングル「悲しみのシミかな」で、初めて作詞家「久保田洋二」に 、作詞をお願いするという形をとったキャプテンストライダム。

 

今回のシングルで松本隆が作詞を担当することを知ったときから、私は、ワクワクしてしまったのだが、それは、決して、永友聖也が書く「詩」よりも、巨匠「松本隆」が書く「詩」の方が期待できそう!という理由なんかではなく、

 

108DREAMS 」発表時にラジオにゲスト出演したさいに、「悲しみのシミかな 」の制作秘話で、それまですべての楽曲の作詞作曲を担当していた、ボーカルの永友 世也

 

「自分の中から出てきた言葉って正解があるわけですよ、歌詞を作ったときに。 ここは、こういう発音で唄おう!という、もくろみがあるんですけど、

 久保田さんからでてきた言葉っていうのは、その時点では、「異物」ですから、それをどうやって「唄いこなす」というより、「呑み込む」というか、「久保田洋二をなんとか俺の歌で泣かしてやろう。」というところで、(ボーカリストとして)戦いでした。」

(NHKFM「ミュージックスクウェア」ゲスト出演時にキャプスト永友談)

 

と、語っていたことをきいてから、自分が書いた言葉以外の「詞」を、自分たちのものとして「消化」しようともがくことによって、これまでオリジナルの「詩」では、たどりつけなかったものへ向かうことができるんだなぁ~という、「共作」の可能性の深さを感じたからだったりする。

 

「風船ガム Ku Cha Ku Cha ダジャレっぽく生きても

 魂の切っ先は ピッカピカに鋭い

 風船ガム パチンと 弾けたら でかけよう

 俺たちの美意識を 見せつけて やろうぜ」

(風船ガム/キャプテンストライダム)

 
ドラムの音が印象的なイントロから始まる新曲「風船ガム 」。
松本隆がどういった意図で書いたのかは、わからないのだけれども、
言葉の選び方をみても、これまでのキャプテンストライダムの楽曲がもつイメージを意識しつつも、敢えて「キャプスト」っぽく(ダジャレっぽい韻の踏み方)しすぎていない印象を受けた「歌詞」はまるで、

「作詞家「松本隆」が、キャプテンストライダムというバンドに贈ったメッセージソング」

のような印象を受けてしまった。 

 

じつは「108DREAMS 」後のバンドの方向性に悩んでいたという永友聖也も、オフィシャルHPのDIARYで、松本隆と話したさいに

『夢や希望なんてさ、風船ガムみたいなもので膨らんだら呆気無くパチンと割れちゃうんだよ。でも割れたらまた噛めばいいんだよ』

と、言われた言葉に刺激を受けて

「これから僕らはガムを噛むように今までの自分達のやり方をあっけらかんとぶっ壊しながら進んで行きたいなー」

と書いているのを見て、あながち

「風船ガム」=「松本隆からキャプテンストライダムへの応援歌」

というのは、当たっているのかも知れないなぁ~なんて妄想をしてしまってニヤニヤしてしまった。

 

まぁ、私の妄想が当たっているかどうかは、真相は知る由もないのですが、この曲が相当、聴いてて気持ちいい!ということだけは、間違いないので、是非是非、興味を持ったかたは聴いてみてください♪

 

この歌、少年ジャンプで連載中の『銀魂』のアニメのED曲にも、なっているみたいなので、「とりあえず、聴いてみたい!」と、いう方は、テレビ東京の火曜19時をチェックしてみては?


nice!(0)  コメント(10)  トラックバック(6) 
共通テーマ:音楽

あの人をみないで。「恋愛スピリッツ」チャットモンチー [音楽]

自分以外の異性と二人きりで会って欲しくない。

自分以外の異性とは極力、話して欲しくない。

自分以外の異性を好きになる可能性を全部なくしたい。

 

これまでに「恋愛」をしてきた人たちの多くは、交際中に、彼女や彼氏に対してのような、「束縛をした」、あるいは「された」ことがあるのではないでしょうか?

 

それぐらい恋愛中において相手を「束縛」するという行為は、ごくごく当たり前のことです。

(もちろん、全く、「束縛」しないという人もたくさんいますが。)

 

実は、私は、このような恋愛における「束縛」を行う理由には、「男」「女」で違いがあるように感じています。それは、

 

男性は、「彼女」「束縛」をする理由は、「恋人を支配したい欲望」からくることが多く、

女性、「彼氏」「束縛」をする理由が、「恋人を失うことへの不安」からきていることが多いというものです。

 

このように感じるのは、私が今まで出会った「束縛」したがる男性の多くは

「恋人」が誰か別の男性に奪われてしまうかもしれない「不安」から「束縛している」というよりも、「自分のものである恋人」が自分が知らない行動をとることがイヤだから「束縛」しているように見え、

 

一方、ついつい「恋人」の行動を「束縛」してしまうという女性の多くは、男性のような「支配欲」からではなく

もしかしたら、私が知らない間に、私よりも素敵な女性が「恋人」を奪ってしまうかもしれない・・

私よりも素敵な女性に「恋人」が心を奪われてしまうかもしれない・・

といったような「不安」、「私以外の異性と会って欲しくない」というような「恋人」の行動を「束縛」してしまう原動力になっているように感じることが多いからです。

 

このような「束縛」したいという感情は、どうしてもマイナスなイメージをもたれてしまいがちですが、「自分のものにしたい」という支配欲恋愛感情としてごくごく自然な一つの形だし(強すぎると問題ですが)、

「不安だから束縛したい」という感情も、「自分への自身の無さ」「恋人を失いたくないという気持ち」のあらわれなので、否定されるようなものではないはずですし、むしろ、不器用な「好き」という形だと受け取ることができれば、どちらが理由だとしても切ない行動のように思えないでしょうか?

 

そんな、とりとめもないことを、ラジオから流れてきた、チャットモンチーの「恋愛スピリッツ 」を聴いて、考え込んでしまいました。 

 

「あの人を被せないで あの人を着せないで

 あの人を見ないで わたしを見てね

 あの人がそばにいない あなたのそばに今いない

 だから あなたは わたしを手放せない」

(恋愛スピリッツ/チャットモンチー) 

 

このブログでも、ついに3度目の記事となる、私の今年、イチオシのガールズバンド、チャットモンチーの2ndシングル恋愛スピリッツ は、

「恋人を「あの人」(恋人の元カノ、あるいは想いをよせているけれども届かない存在(人妻とか教師とか?))に奪われてしまう不安な気持ちを、

恋人が「わたし」といるのは、「あの人」が今、恋人のそばにいないからだ。と信じ込むことで、不安をかき消そうとしている想い

を赤裸々に綴った、不器用でひねくれているけれども、それ以上にどうしようもないくらいに「好き」という気持ちをビリビリ感じられる切ない恋愛ソングです。

 

ここで、描かれている感情は、冒頭で述べた「束縛」とは、ちょっと違いますが、共通しているものは、圧倒的な「恋人を失ってしまうことへの不安」、そして、「今、私のそばにいること(恋人でいること)への、自信の無さ」です。

 

この歌、「恋愛スピリッツ」というタイトルながら、「好き」という、言葉は、一度も出てこないし、さらには、

「あの人がそばにきたら

 あなたのそばにもしきたら 

 わたしを捨てて あの人をつかまえるの」

と、相手の「好き」という感情を認めていないうえに、

「あの人がそばにいない

 だから あなたは私を手放せない」

と、わたしのそばにいる理由を「あの人」がそばにいない、「ただそれだけ」だと、言い切っています。そして、

「だから あなたは私を手放せない 

 だから私はあなたを想っている 」

と、わたしが「あなた」「想って」いる理由すらも、あなたがそういう理由で「わたし」を手放せないからだと言い切っています。

 

この言葉だけを、そのまま受け取ってしまうと、「打算」「計算」によって成り立っている、恋人関係を唄っているように感じて、そこには「不安」ではなくて、「強さ」しか感じることができないかもしれません。

 

が、このうた、冒頭で

「今まで ひとつでも無くせないものって あったかな?

 今まで ひとりでは探せないものってあったかな?

 どうか無意味なものにならないで・・

 どうか今すぐ意味のあるのものになって・・

と、遠回しにですが、今、成り立っているであろう「恋人」という関係への「執着」していることや、そして、この関係が、「意味がないものにならないで」と、「結婚?」を思わせるような「特別な関係」になって欲しいという、強い感情を抑えきれずに零しているせいで、

「あの人がそばにいない

 だから あなたは私を手放せない」

と、いう現状への割り切りかたが、とてつもなく、切ないものに思えてしまいます。

 

この歌、ボーカル&ギターの橋本絵梨子18歳のときに書いたとのことなんですが、自分が18歳の時には、絶対にこの曲が持っている「切なさ」に気づいてあげることができなさそう。。

18歳の女のこは、わかってしまうのかな?もし、そうなら、ホントに感服ものです。

 

と、これまでの記事で、最長のレビューになってしまったチャットモンチーの2ndシングル「恋愛スピリッツ」。

この曲だけで、小説や映画が何本か作れてしまいそうな気にさせてくれるくらいに、様々な情景が思い起こされる、心を揺さぶられる言葉とサウンドが詰まった一曲です。 

実際、私は、この曲の記事をふたつに分けて、もう一本レビュー書こうか本気で考えてしまったし(汗)

 

メンバー3人ともが、作詞をこなすスリーピースバンド、チャットモンチー

「ハナノユメ」では、ドラムの高橋が、「恋の煙 」では、ベースの福岡が、そして、今回の恋愛スピリッツでは、ボーカルとギターを担当し、すべての作曲も行っている橋本が書いたとのことですが、それぞれが個性的な歌詞を書きつつも、すべてに「チャットモンチー」らしさを感じることができることにバンドとしての一体感も感じてしまうから、スゴイを通り越してミラクル!

 

本当に、様々な音楽雑誌、番組等で、デビュー当時から

「音楽シーンを塗り替えてしまう、規格外の才能の塊」

と、騒がれていたこのバンド。

新しい曲を聴くたびに、本当に、まさにすぐそこまで、彼女たちの「時代」が来ているんじゃないかな?と感じてしまう、今日このごろ。

7月に発売予定の1stフルアルバム「耳鳴り 」も、今から、楽しみすぎる☆ 

恋愛スピリッツ

  • アーティスト: チャットモンチー, 橋本絵莉子, 高橋久美子
  • 出版社/メーカー: KRE
  • 発売日: 2006/06/07

nice!(1)  コメント(14)  トラックバック(5) 
共通テーマ:音楽

「陽の照りながら雨の降る」cocco [音楽]

幼い頃、 私の頭は世界をシンプルにしかとらえていなかった。

「砂糖」は「甘い」。

「夏」は「暑い」

「雨の日」は「日は差さない」。

「そういうもの」だと、信じきっていた。

 

そんな幼い日のある時のこと。

ちょうど季節は、今と同じ5月か6月の天気が不安定な頃だったと思う。

天気予報の「アメ」マークをみて「今日は、太陽は出ないんだなぁ。」とぼんやりと家の中から空を眺めていたときのことだ。

パラパラと雨を降らす雨雲が風に流れているさまが、なんだか面白くて、じーっと見つめていると、流れてきた雲の一部にぽっかりと小さい穴があいていることにきづいた。

ぽっかりと雨雲に開いた穴の奥には、青空がかすかに見え隠れして、「やっぱり雲の上は晴れているんだ。」と当たり前のことにビックリしていると

雲の谷間から、太陽がひょっこりと顔をみせた。

すると、どんよりと霞がかっていた空気は、差し込んできた陽の光に照らされ、たちまちに表情を変えて、まぶしいくらいに明るくなった。パラパラと降る雨は、差し込んできた太陽の光を反射してキラキラと白く光って見えた。

その光景の美しさと「雨なのに太陽が見えた!」ことに興奮した私は、両親にそのことを伝えると、「あー、天気雨だったね、今日は。」と、教えてもらった。

「お天気なのにアメなんて、オモシロい!「テンキアメ」ってすごい!」

そんなふうに幼心に感じた、あの体験は、今思うと、それまでシンプルにしかとらえていなかった世界が、想像以上にいろんな可能性に満ちているってことに気づいたきっかけだったのかも。

 

なんてことを、coccoの復帰第二弾シングルとなる、「陽の照りながら雨の降る 」を聴いていると思い出してしまった。

この歌、実はタイトルにある「陽の照りながら雨の降る」というような「天気雨」の具体的な情景描写は、一切ない。

それでも、この歌を聴いていると、不思議と「明るい日差しの中、静かに雨が降っている情景」が浮かんできてしまうのは、ドラマティックに仕上げれたそのサウンドと、クリアーで感情豊かなcoccoの声の表現力なのだろう。

「帰るものは言う

 恋しい 愛しい

 会いたい

 守りたい あなたを」

(「陽の照りながら雨の降る」より一部抜粋)

前作「音速パンチ」でも感じたのだが、意味があるようで曖昧な歌詞の断片から伝わってくるのは、希望や、憂い、そして復帰前の作品には感じられなかった、前向きな決意に似た「強い意志」。曲を聴いていると、まるで目指すべき未来を見据えた強い眼差しを向けられたようなそんな感覚に陥ってしまう。

 

日本人アーティストで「天才」という言葉がこれほど似合うシンガーソングライターは、いないと感じるcocco。(同じ天才の宇多田ヒカルには、職人の匂いも感じてしまうので。)

突然の活動休止を聴いたときには、

「もう二度とこの人の紡ぎだす音楽に触れることができないのかなぁ?」

と絶望したことを思い出すと、こうやって、新曲をレビューすることができ、6月に届けれるアルバムを心待ちにできる、今が本当に幸せ☆

陽の照りながら雨の降る

陽の照りながら雨の降る

  • アーティスト: Cocco, 根岸孝旨
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2006/05/24
  • メディア: CD

nice!(1)  コメント(6)  トラックバック(6) 
共通テーマ:音楽

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。