その問いの答えは「わからない。」でもいいんだと思う「NANA(15)」作・矢沢あい [漫画]
私たちが小学校から高校で学んできたいわゆる「お勉強」の世界の中では、問いかけられた問題には必ず正解なり模範解答が用意されてきた。
そのせいか、日常のなかでの問いかけに対しても
「わからない。」
と、いう答えを返すことがまるで間違いであるかのように錯覚してしまいがちだ。
けれども、27年近く生きてきて、日常生活で人間関係が絡んで起こったりするトラブルの多くには正解があることの方がまれであったり、むしろはっきりとした答えを用意できずに「わからない」という答えを正直に相手に伝えることが最善の未来につながったりすることもあるなぁと感じることが多くなった。
もちろん、どんな未来に転ぶかわからなくても決断しなくてはいけない時はたくさんあることも知っているのだが、それでもやっぱり、さんざん悩んだ結果出てきた答えが「わからない」であったとすれば、それも「ひとつの答え」として受け止めてあげればいいのかもしれない。
なんてことを、先日、発売されたNANAの最新刊である15巻の中での、シンちゃんとハチとのやりとりと、ナナとレンとのやりとりを読みながら考えてしまった。
実は、このブログを書き始めてからついに3度目の記事となる「NANA」。
もともとクッキーという新しい少女マンガ誌をしょってたつという意気込みで連載が開始されたこのマンガ。ついには、少女マンガ界最大のヒット作となってしまい、作者だけの意思ではない、いろんな人や企業の思惑が交錯しているんだろうな?
と誰もが感じてしまうようなゆったりとしたペースで相変わらずこの巻も時が進んでいる。
モノローグでずっと前から予見されている悲しい出来事が起きそうで起きない現在の展開は正直、息がつまりそうで読み進めていくのが結構キツイ。。
が、このキツさはこれまでの少女マンガではハッピーエンドのひとつとして用意されていた
チャ-ト1位の誰もが知っているアーティストになっても
愛する人と結婚することになっても
恋人ができても
お金で生活が不自由することがなくなったとしても
満たされない日常は存在するんだ、ということを描ききっている証でもあり、このマンガのすごさなのだとも同時に関心したりもして。。
矢沢あい作「NANA」。
「どうしてもこのマンガが好きになれない。」
という人がいることも理解できる好き嫌いが分かれる作品ではあるけれども
現在の日本の(世界の?)マンガのトップレベルのクオリティを持っている作品であるのは間違いないと断言できます。
何より、こんなふうにヒットした作品は同じストーリーを多数の人と共有して、感想や時には批評を伝え合うことができるというヒット作ならではの楽しみ方もできるので(好きになれなかったとしても。)、一人でも多くの人に読んでもらいたいなと願ってしまいます。
- 作者: 矢沢 あい
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/03/15
- メディア: コミック
「そんな完璧なものだけを愛って呼ぶような、
寂しい大人にならないで。」
というハチのセリフが、余計に悲しく聞こえる切ないシーンです。
言葉が零れ落ちている「絶望に効く薬」山田玲司作 [漫画]
ここ半年ぐらいで、Mixiやブログの普及のせいで定期的に他人の文章を読む機会が増えました。
そうやって同じ人の文章を定期的に読んでいると、当たり前のことなんですが、人によって文体の特徴や、好んで使っている言葉にはっきりとした差があることに気づいたりして「文章も個性を知る手段だな」としみじみと感心したりします。
私が、自然とよく使っている表現に
言葉が零れる。
と、いうものがあります。
実体験として、美しい風景をみたり、心を揺さぶる音楽を聴いたときに自然と口をついてしまう言葉があることや。
伝えたい感情が先走りすぎて、考えがまとまらないうちに口から言葉が出てしまったときに、
この言葉を発してしまうことをコントロールできない様子は
零れ落ちる
という表現が最もしっくりくるような気がするなぁと感じてから、好んで使っています。
「NHKにようこそ!」のようにジャケ買いによって出会った、この漫画
は、そんな「零れる」という表現がぴったりとくるような
出会いによって生まれた素敵な「言葉」達で溢れた一冊です。
革命的対談漫画
と、銘打たれたこの漫画は、「ゼブラーマン 」や「Bバージン 」で知られる漫画家山田玲次が毎回「会いたい!」と願った人と対談し、その様子を報告するというスタイルで進んでいきます。
こういった対談物は、以前から
「誰に話を聞きにいくか?」
ということよりも
「誰がどういった姿勢(スタンス)で何を聞きにいくか?」
が、その面白さを決定している気がしていました。
本書では聴き手側の山田玲次が常に
「答えがわからないなりに自分でも必死に考えている」
姿勢で対談をしているせいなのか、
対談者があらかじめ考えていた話をただ聞いていくのではなく、
対談の中で、山田玲次から自然と口をでた疑問にたいして、対談者が用意していたわけではない返答を返していく様子が織り込まれていて、
そのやりとりはまさしく「言葉が零れ落ちる」様子そのもので、読んでいて非常に楽しめました。
人と人が話す。
という行為がとても面白いものだということをどれだけ知っていても
音楽雑誌や文芸誌で「○○と3万字インタビュー!!」のようなタイトルが踊っていると、
活字を読むことに慣れていないタイプの人にとっては、きっと面白いこと話しているんだろうけど
「3万字・・・、読むのきっついなぁ・・。」
とおっくうになってしまいがちです。(私がそうなので(汗))
現在、6巻まで刊行中の本書、是非是非、そんな活字が苦手な大人たちにこそ、手にとって欲しい一冊かもしれません。
本屋のヒットランキングを独占しているような、お手軽がウリのビジネス本よりも、何倍も面白いうえに、人生に役立つ言葉で満ちていることは約束できます☆
のだめカンタービレ(14)二ノ宮知子作 [漫画]
「室内楽はおもしろいですね。
いつか家庭内でできたらいいなぁと
思いつつ書きました。」
(のだめカンタービレ(14) 二ノ宮知子コメント)
以前、レビューを書いたことがある、底抜けに楽しいクラシック音楽を題材にした漫画、二ノ宮知子作「のだめカンタービレ」のコミックス最新刊14巻が発売されていたので購入。
物語が始まった当初の吹き出してしまうことをこらえることができない、パンチがきいた緩急自在のギャグテイストはだいぶ影を潜め、パリ編に突入してからはストーリーを魅せる漫画へとスイッチしてきた気がしていた「のだめカンタービレ」。
最新刊、14巻でもストーリーを魅せることを基調とした進み方はかわらなかったが、愛すべき変態たちを描ききる術は健在。
二ノ宮知子が描き出すタッチで描かれなければ、単なるイアなやつや変なやつに感じてしまうかもしれない危険にみちた個性的な登場人物が、彼女が紡ぐ表情や言葉の選び方でなんだかとっても愛嬌がある魅力的な人物に思えてくるからスゴイ!!
個人的には、今回は千秋とジャンの「中古車ディーラーの乱」のやりとりにやられてしまった。ゆうこのつっこみが面白すぎる(笑)
また、相変わらず音を感じさせる大胆かつ繊細なカット割りが本当に効果的。
流れるようなカット割りと繊細な線で描き出された絵は、聴こえてこない音楽を確かに感じさせてくれる。
そのため、自然と読み終わったあとは、話の中で紹介されていたクラシックの曲を聴きたいと思わせるので、この「のだめカンタービレ」に登場するクラシックを集めたCDや、楽譜が売れているというのも素直に納得できてしまう。
冒頭に引用した、著者の二ノ宮さんの言葉にもあるように今回はとくに室内楽の演奏シーンが多く「いつか家族で」という二ノ宮さんのコメントをみて、「そんな家族いいなぁ」と心から願ってしまうような内容でした。
機会があれば、室内楽のコンサートに行ってみたいな☆
最近ではだいぶメジャーになってきた、この「のだめカンタービレ」。それでも、まだまだ「NANA」に比べると男性は未読の方が多いのではないかなぁと感じるので、
「名前はきいたことがあって気にはなっていたんだけど」
という、そこのあなた!最新刊がでたのをいいきっかけに一度、目を通してみては?ホントに笑ってしまうから、部屋で読むことをお薦めしますが(笑)
「NANA」14巻 [漫画]
人の感情はたやすく揺れ動いて
目に映るものは みなまやかしで
そこには確かなものは何も無いって事
(NANA(14) より)
今夏、中島美嘉&宮崎あおいの主演で映画化され大ヒットを記録し、さらには劇中に使用されたナナ役の中島美嘉が唄う「GLAMOROUS SKY 」、レイラ役の伊藤由奈が唄う「ENDLESS STORY 」もヒットし話題になった、矢沢あい作の「NANA」。
コミックスの最新刊である14巻が発売になっていたので購入。
13巻までで累計部数が3200万部を超え、少女漫画としては異例のヒット作となった「NANA」。
ここまで、ヒットすると作者の意思を超えたところで、様々な事情が交錯しているのかな?
と、読んでいて勘ぐってしまうほど最近は展開がスローペースになっており、14巻もやはり、ゆっくりゆっくりと物語の時が進んでいる。
「NANA」は、過去を振り返る口調のモノローグで始まるというスタイルをとっており、随分前から物語が悲しい結末に向かっていくであることを暗示していたが、
14巻ではどうやらその哀しい結末がどんなものなのかが思い浮かぶような出来事が散りばめられているようで、読むのが少し辛く感じてしまった。
いつか誰にも知られるようなヒットアーティストになってやる!
と、いう夢を追いかける青春物語だった当初から物語は随分、姿を変え、
デビューという夢を叶え、最愛の人と結婚することになっても満たされているようには見えない主人公ナナを見ていると
一体、幸せとは何なのか?
を問いかけられているような気さえしてしまう。
しかし、だからこそそんな話の中でつむぎだされるセリフからは、これまでのどんな少女漫画にも感じることができなかったリアリティを持って胸に迫る。
「人生はやり直しがきくってよく言うけど
人間は積み上げた過去を土台に生きているんだから
そう簡単にはいかないわよ。
積み木を崩すことがやり直しだとも思えないし
踏ん張って積み上げて行けば
いつか理想の形になるのかしらね?」
(NANA(14) より)
もう5年ほど前になるけれども、このマンガの展開にショックを受けてしばらく立ち直れなかったと言っていた後輩がいたことを思い出して、
できれば救いようがない結末にだけはならなければいいなと願ってみたりして。
このマンガ、随分、男性の方にも読まれるようになってきたみだいですが、まだまだ年配の男性の方は名前は知っていても中身は・・という方が多いのではないかなぁと思います。
娘さんとの会話のネタにもなるだろうし、一筋縄ではいかないストーリーと含蓄溢れるセリフが詰まったこのマンガ、世のお父さん方にもっと読まれるといいな。感想とか、すごく聞きたいし。
今度、私も、父親に薦めてみようかな。
映画好きの父だから、既に映画のほうは観ているかもしれないけれども☆
- 作者: 矢沢 あい
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/12/15
- メディア: コミック
ジャケ買いしちゃったコミック「NHKにようこそ!」大岩 ケンヂ [漫画]
強烈なインパクトだった。
「NHKにようこそ!」
出会いは、ふと立ち寄った書店に平積みにされた新刊kミックスのコーナー。
「 「NHKにようこそ!」なんだこタイトルは?」
- 作者: 滝本 竜彦, 大岩 ケンヂ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2004/06
- メディア: コミック
タイトルと表紙に描かれた女のこの絵柄から、高校の放送部を舞台にした青春ラブコメディをパッと思い浮かべてみる。
全校生徒1200人。1学年400人ほどの進学校の放送部。
毎年、夏に行われるNHK放送コンテストのアナウンス部門の大会に向けて、放課後、放送室では熱い練習がくりひろがれている。
「先輩!わたし、どうしてもラ行の発音がうまくできません!」
「なに、泣き言を言っているんだ!そんなときは、ただひたすら発声練習だ! さ、私のあとをついて一緒に発音してみよう!」
「はい」
「ラロラロラロラロラロ」
「ラロラ・・ロラロ・・ラロラロ・・ラロロ・・・やっぱりダメです。。うまく口がまわらない!」
「なに言ってるんだ諦めちゃそこで負けだぞ!」
って感じの放送部を舞台にしたスポコン系新機軸マンガなのかなぁ?
こいつぁ、新しい!!
とタイトルから妄想を膨らませていると、ふと、書店の壁に貼ってあったこの「NHKにようこそ!」の発売告知ポスターが目に入った。
そこには、タイトルの説明がかかれていた。
N(にほん)H(ひきこもり)K(きょうかい)にようこそ!
私はタイトルの説明をみて、ますますこのコミックスにひきつけられる。
日本ひきこもり協会!?にようこそ!?
「NHK」が「日本ひきこもり協会」の略!!!?
日本ひきこもり協会って何だぁ? 知りたい!!
結局、この言語センスの卓越さに痺れきってしまい、気がついたら一読もしたことがない、このコミックスを私はレジに持って行っていた。
これが、私と「NHKにようこそ!」との出会いです。
このコミックに限らず、たまに私は一切読んだことも見たこともない小説や漫画をタイトルや装丁のかっこよさで買う「ジャケ買い」してしまうことがあります。
もちろん、たまには、はずれもありますが新鮮な作品と出会えるのでけっこう面白いです。
3000円もかかってしまうCDのジャケ買いよりも、ずっと気軽に楽しめるんでよろしければみなさんもやってみては?
ちなみにこの「NHKにようこそ!」は私の予想していた放送部マンガではなく
(ただ、主人公は高校時代放送部に所属している)
今をときめくニートを主人公にした、ネガティブコメディ漫画。
扱っている題材は、ニートをはじめとしてエロゲー、宗教、オンラインゲーム、ねずみ講とアングラだったりブラックなものばかりな上に主人公は本当にどうしようもないやつなので、内容だけをなぞると暗い気持ちになってしまいそうなのですが、
丁寧な線で描かれたその作画能力の高さのせいでびっくりするくらい軽快にコメディとして描ききっており、多くの人が気軽に楽しめる作品になっています。
(ただ、もちろん嫌悪感しか感じない人もいるかも)
現在、4巻まで刊行中の、このコミック。
多くの人に読ませたい!
という漫画ではないのですが
このタイトルセンスと装丁のかっこよさだけでも一度は書店で確かめてみてほしいかも☆
「のだめカンタービレ」作・二ノ宮知子を読んで [漫画]
私は、人を笑わすことに長けた「コメディアン」な人々をリスペクトしている。
どうしようもない悲しみも絶望も苦しみも極上の「笑い」は、例え一時だとしても忘れさせてくれるから。それに、人を「笑わせる」というのは、「感動」させるよりもずっとずっと難しいと感じているから。
歳を重ねるほどに、「笑い」というものが人とのコミュニケーションや物事を伝えるためのアクセントとして強力な力を発揮するのを身を持って体感することが多くなりこの考えは強くなる一方で。
二ノ宮知子作「のだめカンタービレ」は、クラシック音楽を題材にした「笑える」音楽漫画だ。
吹き出してしまうような楽しいシーンやセリフに溢れてはいるが、決してこの漫画を単なる「コメディ」作品としてお薦めしたいわけではない。
アクセントとしての「笑い」を武器に一癖も二癖もある愛すべきキャラクターたちが織り成すクラシック音楽界を舞台にしたこの物語は、作品の中で演奏されているその曲を知っていなくてもまるで聴こえてくるかのように錯覚させてくれるほど「音楽」が零れ落ちるものになっている。
視覚にしか訴えることができない漫画というメディアで「文字」と「絵」だけで、音を感じさせることに成功した作品を私はこの「のだめ~」と音楽のジャンルは違うが「BECK」(こっちはROCK。いずれレビュー書きたい)しか、挙げることができない。
コマの中に譜面をいれることでイメージされる音、演奏されている曲のイメージを喚起させる大胆なコマ割りは題材となる曲ごとに異なり、その多彩さに引き込まれる。この作品のあの演奏シーンが好きだから是非、曲を聴いてみたいなと素直に思えてくる。
クラシック音楽のCDなんて買ったことも借りたこともなかった私ですが、現在、この漫画で題材になったクラシックの音源を集めたCDが発売されていることを知って買ってしまおうかと本当に悩んでしまうほどに。
現在、13巻まで刊行中の「のだめカンタービレ」。
クラシックが好きな人はもちろん、クラシックなんて退屈で聴きたいと思ったことがない。というあなたまで楽しく読めること間違いなし!な作品です。ホントに。コマ割りとか線とかも、どっちかというと少女マンガというより青年マンガ(そんなジャンルがあるならば)な感じなので是非、ぜひ一読を☆
戦え!生き抜け!調理場は戦場だ! 「バンビーノ」を読んで [漫画]
「男はね…
はじめっから男やなかよ。
男になるもんタイ。
うまかもん作る料理人ならなおさらばい。
あいつは料理されないけん。
火と水ー オリーブオイルと香辛料ー
それもとびっきり上質のやつで!
ものすごぉ悔しか、とか。
あいつにだけは負けとうなか、とか。
そげん気持ちがなかとダメったい。」
(「バンビ~ノ! 1 (1) 」せきやてつじ著より)
現在、ビッグコミックスピリッツにて連載中のイタリアンリストランテを舞台にした漫画「バンビーノ」。
調理場のスピード感、温度、匂いまでをも感じさせてくれるような臨場感を描写するスポ根系料理漫画。
かつて、某中華レストランでバイトしキッチンで中華鍋を振って調理をしていた私が知っている「キッチン(厨房)のリアリティ」という意味でこの漫画を超えるものを読んだことがない。
厨房に入ったばかりのサポートメンバーに必要なこと。メニューを理解し、オーダーを把握し、調理場の今を敏感に察知しながらみなの次の行動を予測して、行動し皿をだし、食材を用意し、鍋(フライパン)を洗う。中華とイタリアン、料理の種類は違えどキッチンで必要なことが同じであることに感動を覚える。
私が働いていた店でも週末のディナーには1時間100人を超えるお客が入り、厨房は戦場になっていた。3つのコンロで3枚の鍋を加熱し同時に3品目の料理を調理する(このテクは「2枚鍋」「3枚鍋」といった呼び名だった)には、鍋を作りながら、どんなわずかな調理の手空きの時間も無駄にしないよう、次に調理するものを考え、常に動いていなければならなかったが、「バンビーノ」には、そんな厨房のリアルが丁寧にそれでいてスピーディに描かれている。
また、そんな厨房のリアルさだけにとどまらず、登場する人間がみな個性的で味のあるセリフをはいてくれる。その含蓄のあるセリフは料理のことを指していてもまるで人生訓のようにすら聞こえる。
「器用な味だ。
器用ってのは人まねってことだ。
自力と勘違いしちゃいけねなぁ。」
(「バンビ~ノ! 1 (1) 」 せきやてつじ著より)
太い線と大胆なコマ割りにとっつきにくい人もいるかもしれませんが、一度、キッチンで働いたことがあるには特に一読を薦めたい一冊。料理もそのアツアツの温度が伝わるかのように描かれているんでイタ飯好きの人も是非☆
「NANA」13巻購入 [漫画]
「たまには道を大きく踏み外さないと
自分や周りを客観視することはできないんだよ。
ちょっと哀しいけれど人はそうやって大人になって行くんだって。」
(NANA13巻より抜粋)
最新刊がでるたびに迷わずに購入する漫画のひとつである「NANA」。
その最新刊13巻を購入。
映画公開を直前に控えて雑誌やテレビ、ラジオといったさまざまなメディアで「NANA」の話題を見聞きしていたこともあって本当に発売日が待ち遠しかった。
相変わらずの人物の心理描写の巧みさにぐいぐいと引き込まれる。とりわけ、セリフの秀逸さにはリスペクトに似た感情さえ湧いてくる。
言葉は、感情を伝える最も便利な手段だけれども決して万能ではないこともよく実感する。
それは、人が生きていく中でうまれてくる感情が、「嬉しい」「哀しい」といったシンプルな形容詞一つで表現できるような単一のものではなく、「嬉しくもあり、哀しくもあり、寂しくもあり、可笑しくもある」そんなふわふわ、もやもやとしたものであるときの方が多いから。
13巻では、物語の途中から暗示されていた悲しい結末へゆっくりと向かっていく原因になりうるだろう小さなほころびがちりばめられていて読み進めるのが少し怖くなってしまった。時として「優しさ」や「思いやり」や「恋しさ」や「愛」だって、大切な人を傷つける原因になる。誰一人、「悪く」はないのに誰もが傷ついてしまうときが人生には度々やってきてしまうことがあるのは経験的にわかっているつもりだけれども。できれば、そんな時でさえも「生きる」ことにとって必ずしもマイナスにしか働かないわけじゃないことを感じさせる結末を望んでしまう。
なんだか、とりとめもない文章になってしまったけれども現在13巻まででている矢沢あい作「NANA」、お勧めです。男性読者も増えてきているようだけれども、まだ読んだことがないって人は是非一読を。ダラダラとしたストーリー展開や綺麗過ぎる絵柄に馴染めなかったとしても心に残るセリフに出会えることは約束します。
「くじけるなハチ公。
人生は七転び八起きだ!
立ち上がり続けりゃ勝つんだよ」
(NANA13巻より抜粋)