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小選挙区制を見直して欲しい [政治・経済]

私が中学生のころ、日本の選挙制度は中選挙区制だった。

今でも覚えているがその時の教科書には、大選挙区制、小選挙区制と比較して中選挙区制の選挙制度がもっとも一票の重みが等しく、民意を反映してくれる選挙制度であるとはっきりと記されていたのだ。

大選挙区制は、1選挙区から複数の代表者を選出するため「少数派の政党にも議席獲得の可能性(少数代表制)があり多種類の民意を反映できる。」という特徴があるが、「多党制になりやすく不安定な政治を生む可能性が強い。」、「選挙区が広いため選挙に多額の資金が必要となる。」という短所が挙げられていた。

小選挙区制は、1選挙区から1人を選出するため「多数派の政党に有利で、政局が安定しやすい」、「選挙区の範囲が比較的狭いので、有権者が投票する人を選びやすい。」という特徴があるが、「「1つの選挙区で一人しか当選しないため死票が多くなり(当選しなかった人に入れられる票)民意が政治に反映されにくい。」、「一党独裁政権を生み出す可能性があり、党のリーダーから独裁者を生み出す危険性がある。」という短所が挙げられていた。

大選挙区制も小選挙区制も長所もあるが、短所も抱えた制度であり、その折衷案として平成6年に現行の小選挙区比例代表並立制が導入されるまで日本で行われていたのが中選挙区制。これは、1つの都道府県が複数の選挙区に分けられ、それぞれの選挙区から3人から5人ずつ選出するという形をとり、「2位や3位の候補も当選するために、死票(当選人に投票されなかった票)が少なくなり、最も民意をきちんと反映してくれる制度」と、中学校の教科書では紹介されていた。(実際に中選挙区制での死票は、約20%ぐらいで、小選挙区制で行われた2003年の選挙では約60%!!だったという。)

しかし、この「最も近代的で民意を反映してくれる選挙制度」として教科書に紹介されていた中選挙区制は、「1つの選挙区から複数の議員を選ぶために、同一政党から何人も立候補者が出ることで、費用がかさんだり、共倒れの危険があったり、政策本位の争いでなく個人の争いになってしまう。」という弊害が指摘され(これは建て前で、お金をかけずに選挙ができ、自民党がより議席をたくさんとれる制度を模索した結果)現在の小選挙区比例代表制へと日本の選挙制度はスイッチしてしまった。

選挙制度が変わった当時、高校生だった私は、ニュースを見ながら「教科書に書いてあることなんて結局、教科書を作る側にとって都合がいいことでしかないんだね。」と、しみじみ感じたものだった。

そして先日、小選挙区制になり2005年9月11日に行われた衆議院選挙の結果は、400議席中300議席にせまる自民党の圧勝に終わる。これは、事実上不可能なのでは?とされてきた憲法改正を可能とする全議席の3分の2以上を上回る驚異的な数字だ。

これは、大政党に有利で一党独裁体制を生みやすいと言われてきた小選挙区制の特徴が際立った結果なのではないだろうか。選挙後に行われたアンケートで「自民党の勝ちすぎだと思うか?」という問いに対して約40%の人が「はい」と答えていることからも自民圧勝が民意を正確に反映した結果だとは思えない。

個人的には今回の結果、「郵政民営化に賛成したから自民にいれたんだけど、こんなに自民勝っちゃってイラクの自衛隊派遣延長決められたり、年金や消費税ぽんぽん上げられたら困るなぁ。」って思ってる人が以外と多数を占めてる気がするんだけど。どうなんだろ?


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コメント 11

go-ichi

はじめまして。
今回は自民党に投票したものです。

私は小選挙区制の方がよいと思ってます。
私が選挙権を得た頃は中選挙区制でした。
当時は毎回社会党に入れていましたが、
投票した人が当選しても全体で見ると何も変わらない・・。
小選挙区制が死に票が多い反面、
中選挙区制は死に議員が多いと感じてました。

今回はこういう結果でしたが、
次回民主党が政権をとる可能性があるのは
小選挙区制だけだと思います。
by go-ichi (2005-09-15 12:43) 

Cinemanabu

>go-ichiさん
はじめまして、go-ichiさん。コメントありがとうございます。

確かに中選挙区制よりも現行の小選挙区制の方が政権交代の確立は高いかもしれませんね。

ただ私は、自民党が政権を持ちつづけることに対して否定的なのではなく、「議論の余地がなくどんな法案でも可決されてしまい議会政治の意味さえなくなってしまう可能性がある」一党独裁体制を生むかもしれない現行の選挙制度が危険だと感じての意見です。

野党が何議席とっても過半数を与党が占めているかぎり意味がないというのは真実かもしれませんが、野党により議論の活発化が法案をよりよいものにしてくれる可能性もあると願っているので・・・。
by Cinemanabu (2005-09-15 13:37) 

たしかに、野党の議席数が少ないので、議会政治に危機感を覚えますが、自民党そのものは決して一枚岩ではないので、ひょんなことでまっ二つという可能性大です。政界のサイクルでいうと自民大勝のあとには、ちょっとあとに大スキャンダルありということが多いので、それによる自浄作用に期待をしたいところですが。統一地方選や参院選のある2007年という年がキーポイントになるでしょう。
by (2005-09-15 18:09) 

Cinemanabu

>Gonbe123さん
コメントありがとうございます。
たしかに中選挙区制の短所の1つであった(1つの選挙区で同じ党の人間が議席争いを行わなければならないために生まれる)派閥のせいで自民は一枚岩ではありませんが、今回の選挙ではすでに造反議員が党からはじきだされており、これを機に「長いものには巻かれろ」という傾向が強まり一枚岩になってしまわないか心配しています。
by Cinemanabu (2005-09-16 09:04) 

まめ

はじめまして。
Cinemanabuさんの記事は、わかりやすいです。
by まめ (2005-09-17 15:13) 

Cinemanabu

>まめさん
コメント&niceありがとうございます。
わかりやすいという言葉、素直に嬉しいです。
これからも、わかりやすさには気をつけて文章を書いていこうと思います。
by Cinemanabu (2005-09-19 00:32) 

powdersnow

 死に議員ですか? ときには鋭い質問の機会が与えられる野党議員に比べ、小泉チルドレンはまさに死に議員でしょうね。

  
by powdersnow (2005-10-16 01:29) 

powdersnow

 トラックバック2について

 僅差で勝負がきまるのは何も小選挙区制に限りません。中選挙区制でも比例代表制でも同じことです。今回の選挙の東京の比例区で、自民党候補が足りなかった受け皿が社民党となりましたが、新党日本との差は僅かなものでした。

 go-ichi さんへ

 あなたが「死に議員」を選びたくないのなら大政党に投票しなければ済む話。「死に議員」を「死に議員」と考えない人の票を「死に票」にする制度を薦める理由にはなりません。あなたのような「死に議員」の定義では、そもそも議会など要らないというほうがすっきりします。
by powdersnow (2005-10-16 02:38) 

powdersnow

上記の投稿の「大政党」は、「中小政党」の誤りです。
by powdersnow (2005-10-16 02:40) 

Cinemanabu

>powdersnowさん
コメントありがとうございます。
よろしければ、3つに分かれてしまったコメントを「中小政党」に修正して1つにまとめてもよろしいでしょうか?
またTB先についてのコメントは、ここではなくTB先にコメントをつけたほうが見ている側もpowdersnowさんの意見がわかりやすい気がします。
選挙が終わって一月ですが、当選した議員たちが選挙時に語っていた理想を忘れて高待遇だけを満喫するような状態にはなってほしくないなぁと願ってやみません。
by Cinemanabu (2005-10-17 09:59) 

OHTA

小川学さん、はじめまして

古い記事ですが、選挙制度改革は重要な課題なので、コメントさせてください。

大選挙区制だと、「多党制になりやすく不安定な政治を生む可能性が強い」などの説明は広く流布していますが、選挙制度史を眺めてみれば、根拠のないことが分かります。

小選挙区制は政権交代を促進するどころか、阻害します。民主党は小選挙区制でなければ政権交代できない、という意見を書かれていた方がいますが、小選挙区制であれば、野党全体では得票率で与党を上回っても、議席数の上で勝てない事態を生みます。

比例代表制を基本にした民意を反映できる制度であれば、今の野党は与党に勝てるはずです。

政権交代を阻害する小選挙区制を支持している民主党は、致命的な矛盾を抱えているといえます。

拙記事ご参照ください。

中選挙区比例代表併用制を提案する
http://kaze.fm/wordpress/?p=164
小選挙区制の廃止へ向けて
http://kaze.fm/wordpress/?p=215
小選挙区比例代表併用制の問題点
http://kaze.fm/wordpress/?p=220
by OHTA (2008-07-06 21:54) 

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